社内の業務を洗い出してみよう~職域開拓(後編)~

この記事のポイント

  • 最初からどの人材にもふさわしい業務があるわけではない
  • まず自社内の業務を洗い出すことから始める
  • 業務の手順も書き出してすりあわせることで、業務選定ができるようになる

障がい者という言葉の中に非常に多くの障がいが含まれているのでどんな業務ができるのか想像が困難だという悩みがよく聞かれます。今回は、障がい者の業務を想定した場合、実際にどのように業務を選定するか考えていきたいと思います。

どんな仕事があるのか自社の業務の洗い出しを行おう

はじめに、前回も採り上げた「はじめからわかる障害者雇用 事業主のためのQ&A集」を見てみましょう。
回答の後半部に、改善策の一例が挙げられています。

Q. 障がい者をどのような職務に従事させたらよいでしょうか

A. 事業所内の仕事を再確認してみる。

作業工程、納期、身体負担、安全などを考えるとなかなか障がい者に任せられる仕事を見つけることは難しいかもしれません。ただ、もう一度事業所内の仕事の内容を再確認してみましょう。その際、チェックシートを活用し仕事の内容、要求されるスキルなどを整理してみるのもよいでしょう。

(出典:独立行政法人高齢者・障害・求職者雇用支援機構から発行されている「はじめからわかる障害者雇用 事業主のため のQ&A集」)

当社でも実際に業務の選定を行う際にチェックシートを活用し、まずは業務の洗い出しを行います。しかしこの時チェックシートの作成をする(あるいは依頼する)際に、障がい者の方に行って頂くという前提でいると、想像する対象者のイメージがバラバラなことから、洗い出しがスムーズにいかないことがあります。

社内の業務洗い出しにチェックシートを活用する

そこで当社では、洗い出しを行う際に、まずは以下の条件を満たす業務の洗い出しを行っています。

業務洗い出し条件

  1. 今すぐに他の方には出来ないが、教えて慣れれば他の方でもできる業務
  2. その業務のためにアルバイト、パートを雇用、または派遣をお願いしている業務
  3. コア業務を行う前段階の付随する業務

ここで業務を洗い出したとしても、まだ障がい者にできる業務はないと思われがちです。そのためさらにその業務をチェックシートにて細かく分析をします。

以下にチェックシートの内容をご紹介します。

チェックシート内容一例

業務内容
-業務名
-手順
-業務詳細

業務頻度
-デイリー
-ウィークリー
-マンスリー
-イレギュラー

月間見込み業務時間

納期

他部署との連携(ありの場合)
-対面
-電話
-メール

外部とのやり取り(ありの場合)
-対面
-電話
-メール

以上のように一つの業務を細かく手順ごとに細分化し、かつその業務を行うのにどのくらいの時間が必要で、他部署や外部とのやりとりの有無を確認します。ここまでやって、業務の選定までたどり着きます。

業務選定までのプロセス

当社では選定までのプロセスとして4つのプロセスを設けています。

  1. 業務の洗い出し
  2. 一次抽出
  3. 対象業務ヒアリング(チェックシート作成)
  4. 業務決定(選定完了)

一度で業務の洗い出しからチェックシートの作成まで行うのではなく、段階的に行うというのがポイントと言えます。またその他に、細かい注意事項が2つあります。

チェックシートは、業務名ではなく業務手順で示す

1点目が、業務名だけではなく業務の手順を記載するという点です。業務の手順を記載することによりその業務のすべてが行えなくても、その業務の一部に関しては可能ということがあります。さらに1人の従業員から選定した業務だけでは1人の障がい者の雇用を生み出す業務量を満たさなくても、部署や部署間を超えた業務で想定した場合、これを集約し、新しい職務として再構築することで、障がい者の雇用が可能となります。

他部署連携の有無と納期を確認する

2点目がチェックシート作成時に必ず納期や他部署・外部とのやり取りの有無の確認を行うという点です。
このチェックにより、たとえばやりとりは電話対応が必要か、メールで可能か確認してあれば、聴覚障がいの方が働きやすいかそうでないかの確認ができます。また、短時間勤務を希望されている方に納期のある仕事を任せる場合は、就業時間内に業務を完遂させることのできる業務量なのか事前に確認もできます。

このように業務を行う上で、何が必須条件となるか明確にしておくことで採用できる障がい種別も明確になり、採用ターゲットも明確となるのです。

まずは固定観念を捨てて、社内にどんな業務があるか洗い出すことが、障がい者の方の職域開拓の第一歩となります。さらに業務を洗い出し、実際にその業務を行ってもらうことができれば、その業務に当てていた時間をその他の業務に当てることができるので、残業時間の減少や、さらに発展した業務の追加も可能となります。

このように必要な業務がまず先にありあり、その業務を障がい者に行ってもらうという雇用プロセスのもとで障がい者雇用を行えば、一石二鳥の効果となるはずです。

【参考】独立行政法人高齢者・障害・求職者雇用支援機構「はじめからわかる障害者雇用~事業主のためのQ&A集~

 


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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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