2016年8月29日更新

【当事者目線で語る④】自走するサテライトオフィスの運営

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こんにちは。オフィス温度28℃の梶原です。

前号では、私が以前お世話になっていた株式会社クリーク・アンド・リバー社でサテライトオフィスが社内に浸透するまでについてお話ししました。

※前回の記事はこちらから
【当事者目線で語る③】サテライトオフィスが社内に浸透するまで(後編)

 

今回は、サテライトオフィスとしてスタートした組織がどのように自走する組織になっていったかについてお話ししします。

 

自走するサテライトオフィスとは、

「業務面でプロフェッショナルとして成果を出し続けること」

「組織として安定した状態を維持すること」

の2点が両立していることだと私は考えています。

 

 

プロフェッショナルとして成果を出す

業務面で成果を出すためにベースとなるのは、会社の目指すべき方向性とサテライトオフィスの組織の方向性、そしてメンバーの方向性が一致していることです。

自分が何のために働くのか?や、今ここで自身が行っている業務が、会社の企業理念やビジョンと結びついているか?はサテライトオフィスに限らず、どんな組織であっても極めて重要なことですが、サテライトオフィスという物理的に離れた場所であることを考えると、より意識することが重要だと思います。

そのために、株式会社クリーク・アンド・リバー社では、できるだけ時間を作って、サテライトオフィスへ出向き、事業の動向をはじめとして、会社の向かっている方向性や理念について、しつこいくらいに重ねて話をしました。これが次第に、期限を守ることや質を安定させるためのチェックを怠らないといった業務上のプロ意識と責任感を醸成していったのではないか?と感じています。

 

安定した組織とは

そして、もう一方の「安定した組織運営」についてです。

当たり前ですが、組織とは、個性を持った一人一人の集合体です。その一人一人がまずは自己を客観的に理解し、仲間である他者を理解することが安定したサテライトオフィス組織運営の要となると考えています。

 

この「自己理解」と「他者理解」の促進にとても有効だった方法を一つご紹介しましょう。

クリーク・アンド・リバー社では、サテライトオフィスのメンバーが相当数となった時点で、オリジナルの「自己紹介シート」を活用した、一つのプログラムを実施しました。

これは、自己紹介をしようとしている今の自分の心境を表す似顔絵や、自分を構成している成分を表す自己成分表、人生のテーマソング、座右の銘、そして周囲の仲間に配慮(理解)してもらいたい点などを一枚のシートにまとめて、一人ずつ発表してもらうというものです。

このシートは普段の様子からはうかがい知れなかったメンバーの様々な面を明るく楽しく知ることができ、大変好評でした。

例えば「自己成分表」では、「20%=仕事、50%=趣味(アニメ)、30%=家族」といった割合で分析する人が多いのですが、中には「90%=仕事、10%=趣味」という人や「100%=妻」などという人もいて、大変盛り上がりました。こういうことを発表してもらうことで、その人がどんなことを大事に生きているのかが垣間見えて身近に感じるきっかけになります。

また、人生のテーマソングでは、選んだ曲によって、世代間ギャップを楽しく実感できたり、好きなジャンルが同じメンバーを発見できて、その後、共通の音楽の話題から急速に距離が近くなったメンバー達もいました。

そして、周囲に配慮してほしいことでは、“障がい特性上、トイレに時間がかかることを理解してほしい”や“あいまいな表現が苦手なので、業務打ち合わせの際には、口頭だけでなく、できるだけ図などを描いて説明してほしい”といったリクエストが上がりました。ここでは全員、真剣に仲間の話に聞き入っていました。

 

この自己紹介&他者理解プログラムの様に、少し工夫をすることで、普段あまり口数の多くない人でも、あまり硬くならずに自分について話ができるようになるという効果があるものです。実際、このプログラムを終えた後、メンバー同士の会話が増え、業務上でも相談しあうことが多くなりました。

 

他にもいくつかきっかけはありましたが、このプログラムは、「自走する組織」としての土台を強固にしたと思います。メンバー同士のコミュニケーションを促進する方法として、人事の方々には参考にしていただけると嬉しいです。

 

あともう一つ、気づいたことがあります。それは、人は自分を受け入れてもらえたと実感できると、今度は自然と他者を知ろうと、自身の扉を開けて、他者を受け入れようとするのだ、ということです。このように、サテライトオフィスの様な組織では、相互理解が安定した組織運営の礎になるのだと気づけたのは大変大きなことでした。

 

こうして、サテライトオフィスがスタートした当初は人事が触媒としてメンバー間のコミュニケーションを手助けしていたフェーズを卒業し、メンバー自らが他メンバーの特性を理解し、配慮しながらお互いをフォローし合って自走するようになったことは、人事としては登場機会が減ったようで少し寂しい気がしたのも本音ですが、それよりも組織が生き物として動き出しが実感は比べ物にならない手応えを感じさせてくれました。

 

サテライトオフィス運営に大切なこと

これまで6回にわたり、当事者目線で語るサテライトオフィスについてお話しをさせていただきましたが今回をもって終わりとなります。

サテライトオフィスの運営では、人事部門は、障がいという特性を持った人たちの組織だからといって、特別なことをするのではなく、会社のベクトルと組織・メンバーのベクトルを合わせることと、自分を理解し他者を理解するためのきっかけを作ることが何よりも大切な役割なのだと思います。

 

今までお話ししてきたことが、皆さんの会社で、障がいという特性を持った人の安定した雇用と事業への貢献に、少しでもお役に立てばこれに勝る喜びはありません。

 

(終わり)

 

<プロフィール> オフィス温度28℃代表。専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 梶原 温美(かじはら はるみ)
オフィス温度28℃代表。
専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。
「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。
問い合わせ先
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startnext@start-line.jp

 


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この記事を書いた人

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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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