2016年8月8日更新

【当事者目線で語る③】サテライトオフィスが社内に浸透するまで(後編)

, , ,

こんにちは。オフィス温度28℃の梶原です。

前号では、私が以前お世話になっていた株式会社クリーク・アンド・リバー社でサテライトオフィスをスタートするまでの道のりについてお話ししました。

※前回の記事はこちらから
【当事者目線で語る③】サテライトオフィスが社内に浸透するまで(前編)

 

今回はサテライトオフィスのメンバーの採用から、実際に業務を行い、社内にサテライトオフィスが浸透していくまでについてお話しします。

 

こだわって行った採用活動

株式会社クリーク・アンド・リバー社のサテライトオフィスは、株式会社スタートラインの本社でもある八王子第一センター内に開所することになりました。徐々に社員数を増やし、まずは5名規模で仕事ができるスペースを借りることを決め、採用活動を開始しました。

活動は、主に株式会社スタートラインに依頼する方法と、従来から行っていたホームページでの採用活動、そしてハローワークでの求人の3本立てでした。

以前もお話ししました様に、株式会社クリーク・アンド・リバー社のサテライトオフィスは最終的には自走する組織を目指していましたので、採用活動はこだわりを持って行っていました。

ですが、そのこだわりというのは、決して条件がたくさんあったということではありません。むしろ条件は少なくて、シンプルに、

「生活・仕事の両面で自立している人を採用する」

の一言に尽きました。

「自立している人」とは、すでに仕事を持っていて、自身で生計を立てている人ということではなく、考え方が自立しているという意味合いです。

どういうことか、少しご説明します。

将来、サテライトオフィスには多様な障がいや個性を持つ複数のメンバーが働くことを想定した際、自分の価値観だけで物事を判断するのではなく、他者の価値観も受け入れることができ、お互いを活かし合える度量を持っている人を最初に採用することがとても大切だと考えていました。そしてこういう人が「自立した人」だと捉えて、採用活動を行っていきました。

加えて、最初の一人は、早いタイミングからリーダーとしてオフィスのマネジメントを任せることができうる人を採用することを想定していました。

 

こんなイメージに加えて、社内では初めてサテライトオフィスという環境で働く人を採用するため、採用選考にあたっては自社でも求人活動は行っていたものの、実際には国立職業リハビリテーションセンターをはじめとする各種支援機関とのパイプを持つ株式会社スタートラインにその道の専門家として全面的に協力をしてもらいました。

 

同社の勧めにより、複数の支援機関で会社説明会を開催するなどして、会社の紹介や求める人材像についてご理解いただくところから始まり、母集団形成を行った後、人事部門による一次面接、二次面接を経て、三次面接は想定部門の責任者との面接、そして適性検査をはさみ、最終面接である人事担当役員面接という選考プロセスで採用活動を進めていきました。

(余談ですが、当時、株式会社クリーク・アンド・リバー社の人事面接はとても長くて有名だったようです。)

 

これはまったくお世辞抜きなのですが、株式会社スタートラインには、会社の求める人材像に合う方を確度高く紹介してもらえることが早いタイミングからわかりましたので、その分、人事としては業務切り出しの準備に注力することができ、大変助かりました。

実際、最初にサテライトオフィスに入社してもらったメンバーは、同社から紹介された国立職業リハビリテーションセンターで職業訓練を受けたメンバーで、現在、リーダーとして大黒柱という大役を担ってくれています。

 

サテライトオフィスでの業務切り出し

話を業務の切り出しに移します。前号でお伝えしました通り、業務を切り出す上では、現状行っている業務フローのまま、サテライトオフィスへ切り出すのではなく、切り出しを機に全社での効率化・最適化を図るために、業務を再構築することを前提としていました。

加えて、近い将来、自走する組織にすることを前提としていたため、株式会社スタートラインのサポーターには、派遣契約を結び当初は常駐してもらうものの、業務のサポートは一時的なものと想定していました。

そのため、業務切り出しにあたっての担当部署との打ち合わせ等にはサポーターも一緒に入ってもらっていましたが、中心となって動くのは、人事と実務経験の長い他部門のメンバーという自社の社員でした。この点は、同社にサポートを依頼している多くの企業とは少し異なるところかもしれません。

 

また、業務切り出しにあたっては、早いタイミングでサテライトオフィスのメンバーと現在の業務担当者の顔合わせをしました。これは、サテライトオフィスのメンバーの“人となり”を知ってもらい、担当者に「この人なら業務を任せても大丈夫」と安心してもらうためです。先々、業務において、ずっと人事が間に入って橋渡しをするわけにはいかないので、お互いが早く馴染んでもらうことを意識していました。

 

こうして、複数回の引き継ぎを行った後、いよいよ業務をスタートするわけですが、スタートにあたり、気をつけていたのは次の点です。

 

「最初は慎重に」

〜引き受ける業務の種類も納期も量も、当初は控えめに目標設定しました。理由は、本社側の不安を払拭するには、ミスなく、納期に確実に間に合わせることが一番大切だと判断したからです。ですので、慎重に目標設定し、それを必ず守ることに注力しました。また、わからないことは自己判断せずに、小さなことでもメールや電話で本社側へ確認し、一つ一つの業務を確実に進めていくことに留意しました。本社側では多少物足りなさを感じていたかもしれませんが、この慎重さが、サテライトオフィス側の業務における自信を育てることにも繋がったのではないか、と思います。加えて、一つ一つ確認するというコミュニケーションを通じて、信頼関係を築くことにも繋がったとも思います~

サテライトオフィスでの業務をスタートする上で、この点はどの企業にも当てはまるのではないかと思いますので、参考にしていただければ幸いです。

 

業務がスタートしてからの人事の役割

業務が走り始めてから人事が行ったことは大きく2つあります。

社内営業

人事では、新しい業務を受けるために“社内営業活動”に注力し始めました。これには3つの狙いがありました。

  1. 新しい業務を受けるまでには、サテライトオフィス側の人員数の確保や担当部署の了解、業務フローの設計、引き継ぎなどのステップがあり時間が掛かることが想定できたため、早めに社内に営業を仕掛けることが必要だと考えていました。
  2. サテライトオフィスが一部の部署だけが知っている組織としてではなく、“事業に貢献している組織”としてより広く会社内に認知されることを目標としました。
  3. より多くの部署の人に知ってもらうことにより、将来的には社内営業をしなくても、業務切り出しの相談や依頼が来る流れを作りたかったのです。

後から振り返ると、ありがたいことにいずれの点も、ほぼ狙い通りにうまくいったのではないかと思っています。

 

メンバー目線に立った情報共有

これはサテライトオフィスの運営で人事として一番気をつけていたことといっても間違いではありません。サテライトオフィスは場所が離れていることから、会社の情報がタイムリーに入りにくく、それが疎外感に結びつきかねません。

“自走する組織”が、会社の進む方向を見据えていなければ、ただの“自己満足の組織”になってしまいます。そうした組織はやがて孤立していってしまうでしょう。そうならないようにしっかりと舵を握るのは人事の役目だと思い、ここはどんなに他の業務で時間を取ることが難しくても、サテライトオフィスへ出向く時間は確保し、全社のビジネスや組織の動きなどの情報をできるだけタイムリーに共有することにしていました。

 

そして、自社のビジネスに興味を持ってもらうために、全社や各部門の月次の業績やビジネス動向について説明する際には、単に数字だけを伝えるのではなく、会社が制作したテレビ番組やゲームタイトル、企業などのサイト名、書籍名などを具体的に伝えることを意識しました。サテライトオフィスのメンバーはゲームや本好きが多かったこともあって、会社の事業を身近に感じることができたようです。また、次第にこうした制作物の話をきっかけに本社の社員とコミュニケーションを取ることが増えてきて、業務理解が進んでいきました。

 

こうした情報は、サテライトオフィスで働くメンバーが自分のしていることが誰のどんな仕事に結びついて、誰の役に立っているのかを意識しながら仕事をすることに繋がり、結果的に会社への帰属意識を高めることにも繋がったのではないかと思います。

 

このようにして、サテライトオフィスでの業務が具体的に走り始めると、徐々に人事の役割が変化していきました。

 

次号では、自走するサテライトオフィスの運営についてお話しします。

(次号に続く)

 

<プロフィール> オフィス温度28℃代表。専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 梶原 温美(かじはら はるみ)
オフィス温度28℃代表。
専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。
「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。
問い合わせ先
Start Next!運営事務局
startnext@start-line.jp

 


障がい者雇用のことならなんでも相談ください
株式会社スタートラインは、様々な障がい者雇用支援サービスを提供しております。
興味をお持ちいただけた方は、まずお気軽にご相談ください。


この記事を書いた人

STARTNEXT!

StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

STARTNEXT!
障がい者雇用について最新の情報をメールで簡単に購読できます






この記事をシェアする