2016年7月21日更新

【当事者目線で語る③】サテライトオフィスが社内に浸透するまで(前編)

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こんにちは。オフィス温度28℃の梶原です。

前号では、私が以前お世話になっていた株式会社クリーク・アンド・リバー社でサテライトオフィスを導入しようとした際に直面した3つの課題の解決策や社内決裁を得るために大切な要素についてお話ししました。
※前回の記事はこちらから
【当事者目線で語る②】サテライトオフィスという選択 ~後編~

 

今回は社内決裁を経て、サテライトオフィス施策をスタートするまでの道のりについてお話ししたいと思います。

 

まず事業の拡大とともに障がいを持つ方の雇用の課題感も拡大していく中、サテライトオフィス施策導入の決裁を得るための提案資料を作成する際の留意点についてお話しします。

 

【社内決裁提案資料のポイント】

  1. サテライトオフィスだけではなく他の施策も並列で提案する
  2. 1.の各施策の比較検討の際、数値化できるものはできるだけ数値で表し、定量的な比較ができるようにする(前号ご参照)
  3. 法定雇用率を満たさなかった場合の行政指導のステップを会社が持っているリスクとして示す(最悪ケースの社名公表も含めて)

 

提案資料上では、当時、サテライトオフィス以外でも提案を受けていた障がい者アスリートや農園での雇用なども施策案として記載しました。

 

障がい者アスリートの雇用とは、ブラインドサッカーなどで活躍する選手を社員として雇用し、一部、通常業務を行いながらもメインとなる選手活動を支援するという施策です。

また、農園での雇用とは、関東近県の農園でその運営会社の管理の元、当社の社員として雇用した方々が野菜を栽培するという施策です。

当時、この施策はいずれもサテライトオフィスに比べると、比較的採用がしやすく、雇用を確保するという点では魅力的な施策でした。しかし、上司である役員から「雇用数を満たすのが最終目的ではなく、事業に貢献する施策を選ぶことが重要」という後押しもあったことで、サテライトオフィスを導入したいという人事としての結論はさらに固まりました。

 

この“事業に貢献する組織を創る”という考えは、役員会での決裁時はもちろんのこと、サテライトオフィスを開所することが決まり、採用選考や業務切り出しをする時など、すべての意思決定の軸となりました。さらには私の中での障がい者雇用に対する考え方の礎ともなった重要な考え方です。

 

話を元に戻します。

役員会提案資料では複数施策を横並びにした上で、人事の結論としてサテライトオフィスを提案したわけですが、無事一回で承認を得ることができました。

一回で承認されたのは、正直なところ、運がよかったとも思っていますが、実はもう一つ地味ながら行っていたことが後押しをしたとも思っています。

 

【社内への地道な働きかけ】

役員会提案までの間、事業部の責任者に個別に時間をもらい、全社施策として障がい者雇用を促進する必要があること、そして新しい施策として考えているサテライトオフィス施策は、営業業務を担うエージェント職の事務作業を軽減し、営業に注力できる時間を増やす施策であることを伝え、理解を得るために働きかけていきました。

加えて、部門責任者とは別に、施策導入にあたって切り出しを想定していた業務を担当している部門のキーパーソンにも個別に時間をもらいました。

当初、サテライトオフィス導入は業務負担が軽くなる提案だとはいっても、今現在、実務を担当している人から業務を引き取るという話のため、抵抗感があるだろうと思っていました。

ところが実際に話を聴き始めるとすぐにこれは杞憂だったことがわかりました。このことは嬉しい誤算でした。

 

株式会社クリーク・アンド・リバー社は、テレビやゲーム・Web・広告などの分野で活躍する、様々な個性を持つクリエイターと仕事をするという環境の会社です。クリエイターの中には、会社という組織で仕事をすることが得意ではないとの理由で、フリーで仕事をすることを好む方も少なくありません。こうした人たちと仕事をしている同社の社員にとっては、ダイバーシティという言葉が世の中でメジャーになる以前から、多様な価値観や特性を持った人たちと共に働くことは、特別なことではありませんでした。こうした意識の社員に対して、同じ業務をコツコツと積み上げるのが得意という特性をもった人がいることを伝えて、サテライトオフィスを導入することに対する理解を得ると同時に、導入決定前でありながら、切り出す業務のアイデアも膨らんでいきました。

 

さて、無事に役員会で承認され、いよいよサテライトオフィス施策導入に向けて本格的な動きがスタートしました。

そして、出てきたアイデアは、現状のままの業務フローで切り出すことを前提にするのではなく、サテライトオフィスへ移管するタイミングで効率化を図ることを念頭に業務設計することをベースにしていました。

この点は前号でお話ししました様に、サテライトオフィス施策導入によって、人事が事業そのものに貢献する実感を得られ、さらに進化する上でのモチベーションの源となる大事なポイントだと私の中でこだわっていた点です。

 

<じっくりと話を聞く>

業務切り出しにあたっては、まずは相手の話にじっくりと耳を傾けることを特に意識しました。そして疑問をもったら、“明るく無邪気に”質問する。“知らなくても当たり前、だから教えてもらう”というスタンスです。

また、社員が「手間がかかって大変」と思っていることを代わりに引き受けますよ、というスタンスも大切です。社員から「喜んで!はいどうぞ!」と言って切り出してもらえるようにしよう、という思いと、既存のフローを前提にするのではなく効率が良い業務フローを新しく作っていくということが両輪となって施策導入に向けて着実に前進することになりました。

 

業務切り出しについて、もう一つお話しします。

株式会社クリーク・アンド・リバー社では経験しませんでしたが、中には、“(障がい者に自分の仕事が)できるわけがない”という考えの人がいるのかもしれません。もしかしたら、その考えの裏には自分の仕事を奪われるという思いがあるのかもしれません。そういう人には、別の仕事をすることで社内の評価を上がる状態を想像してもらうと良いのではないかと思います。

まずは先入観を持たずに、なぜ反対するのか?に耳を傾けること、そして真意を理解してもらうまで根気強く、しかも明るく粘りましょう。こうした働きかけをすることで社員のスキルが上がるのも人事としての立派な事業への貢献だと思います。

 

この様に、業務切り出しにあたっては、その過程に手間が掛かることも事実です。

ですが、仕掛け作りの段階を丁寧に作りこむとで、先々自走する組織ができるベースが整い、将来的には人事の負荷は軽くなります。

業務設計はしっかりと緻密に、一方コミュニケーションは能天気なくらいがちょうどいい、というのが私の実感です。

 

次号では、業務がスタートしてサテライトオフィスが浸透するまでの道のりについてお話しします。

 

次号 サテライトオフィスが社内に浸透するまで(後編)に続く

<プロフィール> オフィス温度28℃代表。専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 梶原 温美(かじはら はるみ)
オフィス温度28℃代表。
専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。
「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。
問い合わせ先
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startnext@start-line.jp

 


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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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