2016年7月22日更新

職場での合理的配慮って、気遣いのひとつだと思えば気楽なんじゃないか。

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障がい者雇用の世界では、障がい者社員を雇用するにあたって、企業は障がい者が働きやすい環境を作る必要があります。

障がい者一人ひとりの障がいの種類や程度、ニーズに合わせて可能な範囲で配慮を行うことを「合理的配慮」と言いますが、これは職場でも実施しなくてはなりません。車いすに乗った障がい者社員のために、職場内で移動しやすいように車いすの幅に合わせた通路を整備したり、耳が不自由な障がい者社員のために手元にホワイトボードを設置したり、職場内のコミュニケーションをチャットで補完したりということはその一例です。

給与、休日、福利厚生といった項目は就職、転職の際の雇用条件や判断材料として用いられますが、同様に職場内でどのような配慮が準備されるかという点は障がい者雇用における約束事となります。年収500万という条件で雇用されたのに300万しかもらえなければ契約違反となるのと同様、障がい者に対する配慮の有無も契約違反となります。

労働者と企業側は五分五分の立ち位置であるといわれていますが、実際のところは企業側が有利な立場にあります。障がい者雇用で就職する障がい者社員にとってもそれは同じであり、本当は配慮してほしい点がいくつかあったとしても、自分自身の社内での立場や、そもそも弱者としてカテゴライズされているという自信のなさから、自分が働く会社に対して、なかなか強く提案できないものです。

しかし、障がい者社員は障がい者雇用の枠組みで働く以上、企業側に配慮を求めることは当然の権利です。自分が働く企業に対して改善提案することへの怖れはあるかもしれませんが、企業は障がい者の知識をふんだんにもつプロフェッショナルではないので、改善提案を待っている(提案してもらわないと分からない)という事実が実は存在しています。怖れることなく、配慮してほしいポイントを上司や人事担当者にきちんと伝える必要があります。

反対に企業側にとって合理的配慮を準備することは、障がい者を雇用する上での義務となります。今月は目が不自由な人が入社する、来月はHIVウイルスに感染した方が入社する。入社してくる方の障がいはひとりひとり異なる場合がほとんどなので、それぞれの障がいに対応した準備が必要となります。しかし、先述の通り、企業は障がい者雇用のプロフェッショナルではありません。毎回完璧な準備ができることはないでしょう。

障がい者社員が企業側に配慮してほしいポイントを伝える必要があるように、企業側も障がい者社員に対して分からないことがあれば聞かなくてはなりません。聞いていいものか、尋ねていいものか。そういった遠慮もあるかもしれませんが、聞かないことには始まりません。合理的配慮は、障がい者社員と企業の双方の歩み寄りがあって、初めて成立するものなのです。

ただし、ここで重要なのは、組織は人によって成り立っているということ。障がい者社員にとって合理的配慮は受けるべき権利である、企業側は準備することが義務であるというような論理は決して間違っている訳ではありませんが、論理を振りかざすような言い分は時として人の機嫌を損ねます。

障がい者社員からの配慮に対する改善提案を企業としては受け入れざるを得ませんが、気持ちよく受け入れるか、嫌々ながら受け入れるかというのは、同じ「受け入れる」であっても大きく異なります。これは企業側から障がい者社員に対して質問や相談をするときも同様です。自身の障がいに関することは、障がい者一人ひとりにとって言いやすい場合、言いづらい場合が存在しています。

個人的には、仕事だから感情なんて関係ないだろうと思っています。障がい者雇用の世界は障がい者に対する合理的配慮は当然の前提ですから、どのような配慮が必要なのか障がい者自身が伝えるべきですし、企業側も尋ねるべきです。ただ、障がい者自身が自身の障がいを受容できているかどうか、気持ちの整理が着いているかどうかなど、感情が左右してくる場面も発生します。甘えるなという一言で済ませてしまうこともできますが、ここは気遣いや気配りがあってもいいのではないでしょうか。

職場において障がいの有無に関わらず、気遣いや気配りがあればそれだけ円滑にコミュニケーションは進むもの。合理的配慮を気遣いや気配りの中のひとつと考えれば、配慮が為されてないと目くじらを立てる障がい者社員もいなくなり、また、どう配慮すればいいか分からないと困惑する企業もなくなるのかもしれません。

 


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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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