2016年7月5日更新

【当事者目線で語る②】サテライトオフィスという選択 ~後編~

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こんにちは。オフィス温度28℃の梶原です。

前号では、私が以前お世話になっていた株式会社クリーク・アンド・リバー社でサテライトオフィスという施策が障がいを持つ方々の雇用に有用だと思い、導入を本格的に検討するまでの経緯をご紹介しました。

 

※前回の記事はこちらから

【当事者目線で語る②】サテライトオフィスという選択 ~前編~

 

 

今回は、施策導入にあたって浮かび上がってきた課題の解決方法を導き出した道筋や、社内決裁を得るための要素についてお話ししたいと思います。

 

サテライトオフィスという施策を導入するにあたり、直面した課題は大きく捉えると次の3点でした。

 

  1. サテライトオフィス導入によるコスト
  2. 恒常的に行う業務の切り出し
  3. 離れた場所でのマネジメント

 

1.サテライトオフィス導入によるコスト

 

まず1.については、現状かかっているコストの洗い出しから始めることにしました。

それも、可視化できているコストは勿論ですが目に見えていないコストも洗い出す、ということがポイントだったと思います。

いくつか具体例を挙げます。

 

株式会社クリーク・アンド・リバー社では、営業としてクライアントやクリエイターに会う業務をエージェント職が担います。この業務に加えて、エージェント職の新卒1年目の新人は、日々仕事を求めて来社されるクリエイターの個人情報をデータベースに登録する業務を行っていました。

 

クリエイターと一言で言っても、テレビ、ゲーム、Web、広告、出版などと幅広いですし、豊富な経験をお持ちの方の経歴データはボリュームが多いですから、個人情報の登録には数十分かかることもありました。

このデータベースへの登録業務を都心の賃料の高いオフィスではなく郊外のサテライトオフィスへ移管することで生まれるメリット、さらには、登録業務の代わりにエージェント職が営業活動に充てる時間が増えるというメリットを可視化して、サテライトオフィス施策導入時のコストとの見合いを考えました。

また、サテライトオフィス導入により、法定雇用不足数に応じて支払う「障害者雇用納付金」が削減されることも決裁の材料になりました。

 

2.恒常的に行う業務の切り出し

 

次に2.にあげた「恒常的に行う業務の切り出し」についてお話しします。

先にお伝えしたデータベースへの情報登録というメイン業務以外では、(賃料の高い都心のオフィスで)キャビネットを占有している人事関連書類のPDF化、更には現場で必要とされる業界の情報を定期的にWeb上でリサーチして定型フォーマットで報告する業務を想定することにしました。

 

時々、「サテライトオフィスを作っても切り出す業務が見当たらない」とお困りの人事の方々の声を耳にします。現状のまま切り出そうとしても、立地が異なることで今まで繋がっていた業務の流れが寸断され、業務完了までの所要時間が増えたり、情報管理の方法を新たに考えなければならないことがネックとなったりするものです。

 

しかし、サテライトオフィスを導入することは業務フローを再構築して効率化を図るきっかけであると捉えることで、この施策の社内における貢献度は大きく変わります。

 

人事は、事業そのものに直接的な貢献ができる職務が限られており、目に見える成果が見えにくいのが宿命ではありますが、サテライトオフィスという形を活用して事業への貢献が実感できれば、それは人事部の誇りとなり、人事がさらに進化する上でのモチベーションの源になると私は考えています。

 

3.離れた場所でのマネジメント

次に3.の「離れた場所でのマネジメント」についてです。

 

少し前置きが長くなりますが、お許しください。

サテライトオフィスで働くメンバー自身が自分がどんな会社に属し、自分が行っている業務がどんな形で事業に役立っているのかを意識することは安定的に長く働くためにとても重要です。

 

働き始めた当初は“毎日出社できて、仕事をすること”自体が喜びだという感覚は多くの方が経験されることと思います。ところがそれだけだと、次第に“この会社で”働くことの意義を見失ってしまうかもしれません。

そうならずに、さらに前進するためには、人が持っている、“誰かの(会社の)役に立ちたい”という潜在的な欲求が引き出されることが大切なのではないか、と私は考えています。そしてこの欲求がサテライトオフィスという組織の成長や進化に繋がり、会社の事業運営を土台として支えることへと結びつくのだと思います。

 

そのために人事ができることの一つに、たとえ立地が離れていても、会社の目指している方向性や事業や組織の動きなどの情報をできるだけタイムリーに開示し、自分や自分の組織のベクトルや役割を会社とリンクさせるためのコミュニケーションを図っていくことがあると考えています。

 

こうした思いのもと、サテライトオフィスとのパイプ役は、まずは人事が担うのが適切と考え、人事直轄の組織にすることを想定しました。

 

運営がスタートしてからの話ではありますが、幸いなことに、実務経験が豊富な別部門メンバーの協力を得ることもでき、連携して月次の定期的なオフィス訪問での情報共有と、日報にコメントをつけて返信したり、気になることがあれば電話、時には直接会って話をするといったコミュニケーションを図っていきました。

 

このように、サテライトオフィス導入にあたっての課題を解決する道筋と要素が一つ一つ具体的に見えてきたので、いよいよ社内決裁を得るためのステップへ移ることにしました。

次回はその動きについてご紹介したいと思います。

 

次号「サテライトオフィスが社内に浸透するまで」に続く

<プロフィール> オフィス温度28℃代表。専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 梶原 温美(かじはら はるみ)
オフィス温度28℃代表。
専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。
「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。
問い合わせ先
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startnext@start-line.jp

 


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この記事を書いた人

STARTNEXT!

StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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