2021年2月19日更新

自律型障がい者マネジメントと脱『属人』の管理者育成!劇的に変える4つのステップ!【HRカンファレンス2020秋】

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2018年4月から、障がい者雇用義務の対象に精神障がい者が加わったことはご存知かと思います。

参照:厚生労働省「障害者雇用義務の対象に精神障害者が加わりました」

かつての障がい者雇用は、多くの企業にとって法定雇用率達成が悩みの中心でした。しかし、時代の変化と共にそれも大きく変化しています。

近年、障がい者雇用に取り組んでいる企業の担当者から

  • 障がい者を雇用しても定着せず、すぐ離職してしまう
  • 障がい者雇用の管理者育成をしたいがどうやったらいいかわからない

などの悩みを聞くことが多くなりました。

今までのように『障がい者を雇用する』だけなく、『障がい者の職場定着や戦力化』という悩みにシフトしていることを感じます。

では、この悩みはどうして多くなっているのでしょうか。

冒頭にお伝えした、精神障がい者が雇用義務の対象に含まれたことが大きく関わっています。

先般(2020年11月)開催された「HRカンファレンス2020-秋-[東京]」においてスターラインは「自律型障がい者マネジメントと脱『属人』の管理者育成!劇的に変える4つのステップ」というテーマで講演をしました。

スタートラインの講演をもとに、今後の障がい者雇用について考えてみましょう。

目次


現在の障がい者雇用市場はどのような状況に置かれているのか?

上記の図は、2010年からの障がい種別ごとの新規求職者数の変化を現したものです。精神障がい者(発達障がい含む)が2010年から2019年にかけて、約2.7倍大きく上昇しています。

その状況下で2021年3月1日からは法定雇用率がさらに0.1%引き上がることが決定しました。

参照:厚生労働省 令和3年3月1日より、法定雇用率が0.1%引き上がります(令和2年10月14日)

法定雇用率0.1%引き上げを達成するためには、全国で約4万人の障がい者の雇用が必要となります。しかし現在就労移行支援事業所へ通所している障がい者は約3万3千人です。
その差の約7千人の雇用を実現するためには、就労継続支援A型、B型に通所している障がい者や、通所訓練を行っていない障がい者を雇用していく必要があります。

その障がい者雇用市場では現在、精神障がい者の雇用(発達障がい含む)に注目が集まっています。前述のように、障がい者雇用市場では精神障がい者(発達障がい含む)の新規求職者数が増えていることと併せて就職件数(令和元年度の報告)も対前年度比3.3%増と、増加をしています。

※「精神障害者」は発達障がい含む。また「その他の障害者」は身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳等を保有しない者。高次脳機能障がい、難治性疾患等により、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者である。
参照:厚生労働省 令和元年 障がい者の職業紹介状況等

障がい種別でみた新規求職者数と就職件数の変化から、今後精神障がい者(発達障がい含む)の雇用&活躍ということが大きなポイントになるでしょう。

しかし、精神障がい者(発達障がい含まず)は職場定着率が低いというデータがあります。

上記の図は、1年間の職場定着率です。
精神障がい者(発達障がい含まず)の1年定着率は49.3%。約2人に1人は1年以内に退職しているという結果が出ています。早期退職を防ぎ、長く活躍してもらうためには『障がい者雇用の管理者』の存在が重要になってきます。

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障がい者雇用の管理者育成の障壁&その要因とは?

上記の状況やデータから、障がい者雇用の管理者育成の重要性は増していると言えます。

しかしながら、管理者を育成するにあたって、いくつかの障壁があります。

・管理者が障がいについて深く学べる機会が少ない
・管理者への評価基準が数値化できないなど、曖昧になりがち
・兼任業務が多忙(管理者育成業務が後回しになりがち)

これらの原因として

・社内に障がいについての専門知識/ノウハウがある人材がいない
・管理者の業務範囲が定まっていない
・多くの人事担当者は障がい者雇用専任でなく他業務を兼任している

が挙げられます。

仮に、管理者育成に成功したとしても、属人的なサポート体制では障がい者も、受け入れる組織も疲弊していき、悪循環に陥ることも考えられます。

また、組織で統一したサポート体制が確立していないと、同じスキルを持つ管理者育成は困難です。

管理者によってスキルの差があると、以下のようなことが起こります。

・人によりサポートの質が異なるため、同じ指示に対して違う伝え方をしてしまい、障がい者が混乱する
・サポートの再現性が低いことで、企業規模や拠点拡大に伴うリスクが大きくなる

これらを防ぐために、管理者がベースとなる専門知識を習得することと、組織で統一したサポート体制の確立が必要になっていきます。

過去、スタートラインでも同じように属人的なサポートで失敗をしたことがありました。
属人的ではない障がい者雇用支援を行うため、応用行動分析学に基づいた支援技術を根幹とし、スタートラインは現在、日々約1,000名(2021年1月現在)の障がい者のサポートを行っています。

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『脱属人化』へ導く4つのステップ

1.専門知識を習得する
2.具体的な対応策を知る
3.対応策を実行する
4.実行した対応策を他者へ教えられる

同じスキルを持った管理者を育成するには、この4つのステップが重要です。

1.専門知識を習得する
  →管理者は、障がい者雇用に関する専門知識を習得するところから始めましょう
2.具体的な対応策を知る
  →専門知識を習得するだけでなく、外部の専門家に相談するなどして複数のケーススタディを実施し、どのように障がい者をサポートしていくかの具体的な対応策を知りましょう
3.対応策を実行する
  →専門知識やケーススタディで習得したことをもとに具体的な対応策を実行していきましょう。上手く行くこともあれば、上手く行かないこともあります。上手く行かなかった場合は『どこが上手く行かなかったのか/どの点を改善すれば結果が変わったのか』という振り返りをしっかり行っていきましょう。
4.実行した対応策を他者へ教えられる
  →上手く行った結果も、上手く行かなかった結果も他者へ積極的に教えていきましょう。

「2.具体的な対応策を知る」で取り上げたケーススタディは重要です。知れば知るほど、知見・ノウハウが貯まるからです。
ケーススタディの一例を見てみましょう。

※※

Aさん…障がい種別:精神障がい(ADHD/注意欠陥、多動性障害)
課題:【メンタル不調の現れ&業務パフォーマンスの低下】が起こっている。
原因:周囲からのアドバイスをネガティブに捉えてしまい、パーソナルな部分を否定されていると感じるため、【相談事が出来ない状態】にある。

相談事が出来ない状態にあるAさんに確認すべきことは 【相談出来ない原因は何か?(上司とのトラブルなのか、その他の事由なのか)】です。

Aさんへヒアリングを行った結果、過去、周囲から否定的な言葉を受け続けていたため、アドバイスを全て否定的に感じていたことがわかりました。

上記のことから2点の支援計画を立てました。
1点目は、相談しやすい関係性の構築です。
Aさんには些細なことでも管理者へ相談するように促し、管理者へは相談が出来たことに対してプラスのフィードバックを行います。

2点目は、目標と現状のギャップのすり合わせを行いました。そのために、ACTマトリクスシート(※注1)を活用しました。

活用した結果、Aさんは『会社に貢献したい・主体的に行動したい』と考えていることがわかりました。
相談出来ない状態から、相談するという行動を取るように変化させるために、管理者から相談出来たことに対するプラスのフィードバックを行いました。

・相談出来ない→困難を抱え込み憂鬱になり体調不良→業務パフォーマンスの低下→自己否定…

という状態から

・『相談するという行動を取る』ように支援する→懸念が払しょくされる→相談という行動がとられる→プラスのフィードバックが返ってくるようになる→相談すること=悪いことであるという概念が変化する

という状態の変化が起こりました。

※注1 ACTマトリクスシート
認知行動療法の一つを元にしたツール。自分の人生のなりたい姿と、今現状の行動と思考が同じ方向を向いているか可視化できる。

Aさんのケースの振り返りとして以下の図にまとめました。

このようにケーススタディを一つひとつ積み重ねて振り返ることが大切です。
そして、他者に教えていきましょう。成功事例も失敗事例も1人で振り返るだけでは『誰も知らない特別な知識』となってしまいますが、他者に教えることで『組織の知見/財産』となります

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まとめ

『脱属人化』を防ぎ、同じスキルを持った管理者を育成するには、この4つのステップが重要です。

1.専門知識を習得する
2.具体的な対応策を知る
3.対応策を実行する
4.実行した対応策を他者へ教えられる

一つひとつ取り組んでいきましょう。

スタートラインでは10年以上の障がい者雇用支援の実績から、障がい者雇用の管理者育成サポートのコンサルティングも行っています。
各企業の障がい者雇用の原因分析からサポートし、よりよい障がい者雇用の体制をコンサルティングしています。

日々、変化する障がい者雇用について、障がい者だけでなく、企業にとってもよりよい形を提案しています。

障がい者雇用にお困りの方は、スタートラインにお問い合わせください。

【お問い合わせ先】
https://start-line.jp/contact

また、スタートラインでは、企業数175社/約1,000名(2021年2月)の障がい者雇用支援の実績からオンラインセミナーを定期開催しています。
参加は全て無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

【企業向け障がい者雇用支援セミナー/お役立ち資料(無料)】
https://info1.start-line.jp/seminar
https://info1.start-line.jp/wp

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この記事を書いた人

STARTNEXT!

StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。



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