押さえておきたい、精神障がいの診断名変更

障がい者採用で履歴書のチェックをしていると見慣れない診断名に出会うことがあると思います。特に精神障がいについては症状の表れ方が複雑で、診断や治療方針の決定が難しいとされているためアメリカ精神医学会によって明確な診断基準(DSM)が設けられ、最新の診断基準が日本の医療現場でも徐々に使われるようになってきました。

「DSM」とは“Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders“の略(精神障がいの診断と統計マニュアル)で、精神障がいの分類のための共通言語と標準的な基準が提示されています。

アメリカ精神医学会が2013年に出した最新の診断基準は「DSM―5」と呼ばれ、新しい科学的知見を反映し日々の診療に即した内容を目指したとされています。

今回はその最新の診断基準により従来の診断名から変更されている点がありますのでその変更点について、一部をご紹介させて頂きます。

気分障がいの廃止

まず今回大きく変わったものの一つにうつ病関連の診断名があります。従来は気分障がいとされていた障がいが、うつ病に代表される「抑うつ障がい群」と、そううつ病などの「双極性障がいおよび関連障がい群」を別のくくりとして分けられました。それに伴い、気分障がいは廃止となっております。

自閉症スペクトラムへの変更

次に発達障がい関連の診断名でも、大きな変更がありました。従来では、自閉症や、その一種のアスペルガー症候群など「広汎性発達障がい」が、DSM―5では自閉症スペクトラムと社会コミュニケーション障がいとなりました。

自閉症スペクトラムは

  1. 相互的社会関係の障がい・コミュニケーションの障がい
  2. 行動、興味、および活動の限定された反復的で常同的な様式(こだわり)が中核症状

と定義され、1,のみの場合は社会コミュニケーション障がいとされています。

またその他にも統合失調症が「統合失調症スペクトラム障がい及びその他の精神病性障がい群」と変更されたりと幾つかの変更点がございます。

実際に採用の現場では、気分障がいや広汎性発達障がいという表記が見受けられ、今すぐに変更が浸透するということはありませんが、今後徐々に変わってくるものと予想されます。特に精神障がい者の雇用については正しい知識と理解が求められますので今後の障がい者雇用、特に採用に携わる中では、このような変更点は押さえていく必要があるかと思われます。

参考記事:
日本経済新聞 2015年7月5日付
「うつ病診断、新知見を反映 薬の処方 改善に期待」

 


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