2018年12月30日更新

今こそ職場理解を促そう

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StartNEXT!今こそ職場理解を促そう

こんにちは。オフィス温度28℃の梶原です。
今年も残りわずかとなりました。

2018年を振り返ると、障がい者雇用分野の大きなトピックとしては、中央省庁と地方自治体における障がい者雇用の水増し問題といって間違いないでしょう。厚生労働省が12月25日に発表したところによると、国の機関の障がい者雇用率は6月時点で1.22%となっており、法定雇用率(2.5%)を満たすためには計算上では約4300人の新たな雇用が必要だということです。
こうした現状を打開するために、2019年末までに約3700人を採用する計画を発表、10月には人事院が統一選考試験の募集要項を発表し、12月の頭から半ばにかけて応募受付を行いました。そして、2019年2月から3月にかけて選考試験が実施され、3月末までには676人を採用するとのことです。

こうした国の具体的な動きは、民間企業への応募者数の減少という具体的な影響を与え始めていることを実感します。加えて、一部の企業では、今後さらに影響が大きくなることを見越して、より早期に、より多くの人に内定を出すという採用活動の変化も見られます。

今までも、より多くの障がいを持つ人を雇用するために、働く環境を整備したり、職域開拓をしたり、処遇を改善するなどの取組みを地道に重ねてきた企業にとっては、新規採用はもとより、雇用を維持するために更なる取り組みを行うことは避けて通れない状況と言えるのではないでしょうか。人事部の皆さんにとっては、思わず、愚痴をこぼしたくなるところです。(私が担当者なら愚痴をこぼすどころか悪態をついているかもしれません)

一方で、これだけ社会で障がい者雇用が話題になったことで、障がい者雇用を“他人事”だと思っていた社員の人たちの意識が変わり、関心が高まっていることも事実です。
今までは、障がいを持つ人と一緒に働くことや、仕事を任せることは人事が考えることであって、自分たちには関係のないことだ、と考えていた現場の人たちに、障がい者雇用を“自分事”と捉えてもらう機会としては、今は良いタイミングと言えるかと思います。

とはいえ、「職場から業務を切り出してほしい」、「障がいを持つ社員を職場に受け入れてほしい」という話を具体的に実現するのには、まだ社内の意識醸成が不十分だな、と感じられることもあるでしょう。このような状況であれば、まず、社内で障がい者雇用もしくはダイバーシティについての勉強会や研修を行う機会を創ることをお勧めします。

私が人事担当者だった時に常々感じていたことですが、元々、障がい者雇用に関心がある人や身近に障がいを持つ人がいるような一部の人を除くと、現場の社員の皆さんは人事が思っている以上に障がいを持つ人のことや障がいの特性などについて情報を持っていません。
以前もこのStartNEXT!の中で書かせていただきましたが、人は自分が知らないことに対して漠然とした恐れを抱くものです。ぜひ勉強会や研修の場を通じて、社員の皆さんが障がい者雇用や障がい特性について知る機会を創っていただきたいと思います。

内容としては、

  • 企業が求められていること(法定雇用率制度の仕組み等)
  • 当社の雇用実態(雇用人数や障がい種別、業務内容等)
  • 雇用が想定できる主な障がい種別とその特徴
  • 障がい者に適した業務例

などを想定しておくとよいかと思います。

なお、これらの資料を作成する時間がなかなか取れないということであれば、「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」で障がい者雇用の理解促進のためのDVDを無料で貸し出してくれますので、こちらを活用することも一案です。

そして、こうした勉強会や研修の実施について、一つ押さえておきたいポイントがあります。
それは、人事側からの情報提供という一方通行の場ではなく、社員の皆さんからの質問や意見を引き出す時間を設けることが重要だということです。
人事からの
「質問はありますか?」
という投げかけよりも、小さなグループをいくつか作り、その中で自由に意見交換をして頂く形を取る方がよりスムーズに意見を引き出すことができます。
社員の皆さんにとっては、“不安を抱えていたり”、“知識がないのは自分だけではないんだ”、ということがわかるだけでも、障がいを持つ人と共に働くことへの心の中のハードルは確実に下がります。

話は少し変わりますが、
主にCSRに関する研究をされている影山摩子弥氏が企業に対して行った調査によると、障がい者雇用は組織の中で労働生産性を改善する効果があることがわかったそうです。
同氏は著書の中で、障がい者を雇用することで、例えば人材育成のノウハウが出来る、業務の流れが改善する、健常者社員が業務に前向きに取り組むようになる、適材適所のノウハウが形成される、という様な具体的な効果を実証できたという調査結果を紹介しています。

このような結果にも背中を押してもらい、人事部としては、障がい者雇用を企業としての義務という意識からもう一歩前進して、
“障がい者は潜在的な戦力だ”
ということを前提にして、会社の事業に貢献する人事として雇用に取り組んでいきたいものです。

梶原 温美(かじはら はるみ)<プロフィール> オフィス温度28℃代表。専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 梶原 温美(かじはら はるみ)
オフィス温度28℃代表。
専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。
「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。
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この記事を書いた人

障がい者の雇用・就業ニュース発信メディア STARTNEXT!

StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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