2018年10月31日更新

成長を促すツールとしての「人事評価」

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これまで6回にわたって、精神障がいを持つ人を雇用することについて、企業の人事部の目線で、お話をしてきました。
今日は精神障がい社員が長期にわたり安定的に働くために重要な「人事評価」についてお話していきたいと思います。

「人事評価」というと、評価の対象期間にどれだけの成果が上げられたか?を計る人事ツールと捉えられることがまだまだ一般的ではないか?というのが実感です。
会社の定めた評価項目に対して、

「期待を大きく超えた」「期待を超えた」「期待通りだった」「少し物足りなかった」「全く物足りなかった」

などの段階で評価をするわけですが、過去の実績に対する評価に終始してしまうのは、片手落ちではないかと思います。

別の言い方をすると、過去を振り返るだけではもったいないと思うのです。
過去を振り返り、「何ができて、何ができなかったのか?」を把握するのは、「これから何を伸ばし、何を改善していくのか?」という次の成長に繋げるための序章といっても言い過ぎではありません。
精神障がいを持つ人の中には、自分に対する他者の評価が必要以上に気になる人がいます。

その思いが、
「悪い評価を取ったら会社を辞めなければならないのではないか?」
という恐れにつながってしまうこともあります。
人事部は精神障がいを持つ社員に対して、「人事評価」はこれからどう成長していくか?を会社と本人が一緒に考えていくツールである、ということを評価サイクルを開始するスタート時点からしっかりと伝えておきたいものです。

さて、障がいを持つ人に対する人事評価の建付け構成としては、

[1]基本的な行動
[2]業務遂行力
[3]目標管理

の3部構成にすることが良いように思います。
一つずつご紹介していきます。

まず、[1]の【基本的な行動】では、働く上で社員に求める行動原則について定めます。
会社に、企業人として定めている「行動指針」があれば、そこから一人ひとりに求める行動を評価項目として定めていくのが基本となります。
例えば、
「公正で透明性のある企業活動を行う」
という行動指針を持つ企業であれば、
「法律や会社のルールを守った行動が出来る」
といった評価項目が考えられます。
また、
「社員一人ひとりが自律して個人力を高め、チームとしてその力を高め合う」という行動指針であれば、
「自分自身で成長しようとする意欲が行動として表れている」や「チームの一員として他者に協力することができる」
というように評価項目に落とし込むことができると思います。

もし会社に行動指針がない場合は、企業理念を実現するために、社員に求める行動について定めていきます。

次に[2]の【業務遂行力】について、です。
これは業務を行う上で求める能力について定めます。
例えば、
「担当業務を正確に行うことができる」
「担当業務を定められた時間内に完了することができる」
「業務の質の改善・向上のための提案をすることができる」
などが挙げられます。

最後に[3]の【目標管理】について、です。
どういう目標を設定するか?は個人差が大きいものですが、まだ入社して働くということに慣れていない社員であれば、
安定して出勤することができ、業務にも集中することができるようになることを見据えて、
「毎日規則正しい睡眠・食事の習慣を身につける」
という目標を設定することもできるかと思います。
一評価期間の間に何を達成することを目指すのか?を一人ひとりの能力や適性、志向に合わせて上司と本人が相談しながら決めていきましょう。

このような「人事評価」の仕組みを活用して、サイクルを回すことを通じて、本人の成長を促していくわけですが、評価のプロセスの中では、評価結果のフィードバックに最も多くの時間とエネルギーを注ぐことが重要です。
評価のフィードバックは通常、上長から行うものですが、障がいを持つ社員のマネジメントに慣れていない上長の場合は、どこまで突っ込んで本人に話をしていいのかがわからず、あいまいな表現でフィードバックを行ってしまうことも考えられます。こういう懸念がある時は、フィードバック面談の場に、人事担当が同席しサポートをすることも有効です。

フィードバックをする際には、「もっと丁寧に仕事をしてください」や「もっと早く」といった表現ではなく、「何を、いつまでに、どうやればいいのか?」を具体的にわかりやすく話します。
そして、面談は一方的な上長側からの話だけではなく、本人が話の内容を理解したか、納得したか?を確認することもセットで行ってください。上長は伝えたつもりでも、本人が納得していないというのは避けたいものです。

今期の評価フィードバックが終わったら、その結果を踏まえて、次に何をできるようになるか?何を目指すか?という目標設定を行います。目標は、前期から今期、今期から来期、というように一段ずつ階段を上がっていく様に設定することで、本人が成長実感を得やすくなります。

以上、今月は「人事評価」についてお話してきました。

手前味噌で恐縮ですが、私は前職で一緒に働いていた双極性障害を持つメンバーから評価フィードバック面談の時にこう言われたことがあります。
「梶原さんは、成長したいと思っている僕にいつもちょっと背伸びをした目標を示してくれる。そのことが励みになってまた頑張ろうと思える」

個人の成長が組織の成長に繋がり、組織の成長が会社の成長に繋がるということは、障がいを持つ人についても例外ではありません。
「人事評価」が個人の成長を促すツールとしてぜひ有効活用していただければと思います。

<プロフィール> オフィス温度28℃代表。専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 梶原 温美(かじはら はるみ)
オフィス温度28℃代表。
専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。
「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。
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この記事を書いた人

STARTNEXT!

StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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