2018年9月28日更新

精神障がいを持つ人の雇用【6】~職場での理解を促すことの大切さ~

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StartNEXT!2018-10-01

精神障がいを持つ人の雇用が義務化されて約半年が経過しました。
私は様々な業界の企業に向けて、障がい者雇用を促進し、事業に貢献する組織づくりや評価制度をはじめとした仕組みづくりのご支援をしていますが、特に東京では精神障がいを持つ人への理解が進み、安定的な就業と事業活動への貢献が実現している企業が増えてきている実感を持っています。

一方で、地方都市の様子は、というと、一部の先進的な企業を除けば、雇用義務化に伴ってようやく具体的に動き始めたばかり、と感じます。

そして、精神障がい者をこれまで雇用したことがない、あるいはごく少人数を受け入れたことがある企業においては、まだまだ精神障がいに対する誤解や理解が不十分な面が否めません。精神障がい者の雇用が義務化された今年の4月、とある地方都市にある企業様へお伺いした際、次のようなお話を聞きました。

「以前、職場にいた精神障がい者は、職場で不満があると、何も言わずに職場からいなくなってしまった」
「急に休むから仕事を安心して任せられないんだよね」
「知り合いの会社で働いていた人は職場の人間関係で揉めてしまったとき、自分の思い通りにならなくて暴れたらしいよ」

自戒の念も込めてお話しますが、人は自身がよく知らないことに対しては、漠然と不安を抱えるものです。そして、目の前に情報があるとそれに飛びついてしまい、その情報に踊らされてしまいがちです。このStartNEXT!の場でも何度かお話していますが、精神障がいを持つ人が安定的に就業し、さらには事業活動に貢献する働き方をしてもらうためには、欠かすことができないいくつかのポイントがあります。

まず1番目は【採用時の見極め】です。
求職者の中から、自身の状態を客観的に把握し、服薬習慣ができていて、安定的な就労が見込める人と、そうでない人を見極める採用選考が必須です。

2番目は【支援者・理解者の存在】です。
本人が信頼する支援者、そして家族・友人は、特に不安定になりがちな入社直後には本人を支える大変大事な存在です。

3番目は【継続的な人事の支援】です。
採用した後は配属先の現場任せ、では、現場の社員の皆さんの負担が大きすぎます。人事は本人そして現場上長との定期的な面談を重ね、小さな不安や問題のタネを見つけ、大きくならないうちに早めに対処することが肝要です。

今日はこれらの3つのポイントに関する詳細なご説明ではなく、はじめて、あるいは久しぶりに精神障がい者を雇用しようとする際に必ず行った方が良いと思う別のポイントついて、お話をしたいと思います。それは、
【職場・現場の人たちに対する障がいへの理解促進の場を創ること】
です。精神障がいは、身体障がいと異なり、一見すると障がいをもっているかどうかがわからないこともあり、その種類や特性、どのような接し方や指導方法が適切なのか、どういったときにコンディションを崩しやすいのか、などの情報を整理して提供する学びの場を創ることをお勧めします。以前、私が企業の人事部で仕事をしていた時は、部単位で行っている定例ミーティングの場に45分程の時間をもらい、障がいに関する情報を一覧表にまとめたものを使って、各部署を回って説明していきました。

その時に実感したのは、こうした理解促進の場では、こちらからの情報提供よりも、参加者から自由に質問や発言をしてもらい、それに対して人事が答えるという時間が最も有意義だということです。
そのためには、あまり堅苦しくなく、参加者が話しやすくなるような雰囲気をつくれると良いな、と思います。
というのも、こうした質疑応答の場面を作っても、参加者の中には、
「こんなことを発言したら、自分が差別的な考えを持っている人間だと周囲に思われるのではないか?」
という思いが先行して発言をためらう人もいるからです。

人事からは、
「どんなことでも構わないので、なんでも聞いてください」
といって、皆さんの発言を促すことが肝要です。また、提供する情報ですが、職場で一緒に働くこと可能性のある障がい種別に絞り、まずはごく一般的な項目をひとまとめにすることをお勧めします。
最初からあまり細かく専門的なことを詰め込んでも、参加者側で消化不良になってしまったり、却って職場での受け入れのハードルを上げることにもつながりかねません。加えて、参加者からの質問を促す観点からも、大きく整理した情報を提供することが良いようです。具体的には、厚生労働省のサイト(こころの病気を知る)が参考になります。

このサイトの中で紹介されている病気や障がいの中から、一緒に仕事をする可能性が高いものを私なりにピックアップすると次の通りです。

・発達障害(AD/HD、アスペルガー症候群)・うつ病・双極性障害・適応障害・統合失調症・性同一性障害・てんかん

加えて、これらの病気や障がいに関する、・主な症状、・仕事面での特性、・職場で配慮することについてまとめます。

症状については、先ほどの厚生労働省のサイトをご覧いただき、ここでは仕事面での特性と職場で配慮すること、について、発達障害の一つである「AD/HD」を例にご紹介します。

【仕事面での特性】
・同時に複数のことをこなすことが苦手、明確で具体的な指示をしないと混乱する、臨機応変な対応が難しい、などの場合がある。

【職場で配慮すること】
・同時並行で複数の仕事を依頼しない、細かく業務を区切り、手順を明確にする、複数業務を依頼する場合は、PC上ではなく紙に優先順位を書き、仕事の全体像が見えるようにする、始業前に今日の業務を洗い出し、また終業時には今日の業務の振り返りと明日の業務を洗い出すことを促す。

いかがでしょうか?こうした情報を提供することが、まずは精神障がいを持つ人と一緒に働くことへの第一歩になります。そして、実際に一緒に働いてみると、周りの人たちの理解が助けとなり、障がいを持つ人の力が発揮されることを実感されるのではないでしょうか。

精神障がいを持つ人の雇用を増やし活躍してもらうことは、人事部の皆さんだけが孤軍奮闘しても叶いません。
ぜひ、現場を良い意味で巻き込んでいっていただきたいと思います。

<プロフィール> オフィス温度28℃代表。専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 梶原 温美(かじはら はるみ)
オフィス温度28℃代表。
専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。
「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。
問い合わせ先
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この記事を書いた人

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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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