双極性障がいの方の安定就労のポイントはこちら

「躁うつ病」と「双極性障がい」同じなの?違う病気(障がい)なの?と疑問を抱いたことはありませんか?
実は、「躁うつ病」と「双極性障がい」は同じ病気(障がい)です。
気分が落ち込んでしまう「うつ状態」とその反対の状態の「躁状態」を繰り返す慢性の病気であることから、昔は「躁うつ病」と呼ばれることが多かったです。しかし、その気分の変化が両極端に現れることから「双極性障がい」と現在は呼ばれるようになりました。

皆さん、何もしたくない気分の日、反対に1日中動き回っている日などありませんか?そのようなことも両極端な気分の変化と言えます。では、「双極性障がい」とはどんな障がいなのでしょうか。転職活動に関わらせていただいた方々のケースと併せて障がい特性についてお伝えしていきます。

双極性障がいには2種類ある

双極性障がいとは、気分が高揚する「躁状態(元気すぎる)」と気分が落ち込む「うつ状態(元気が無さすぎる)」を交互に繰り返す障がいです。更にそこから2つに分けることが出来ます。
1. 躁状態とうつ状態を繰り返すケースを「双極Ⅰ型障がい」
2. 軽躁状態とうつ状態を繰り返すケースを「双極Ⅱ型障がい」
この状態をグラフに表してみました。

<双極Ⅰ型障がい>

躁状態とうつ状態がはっきり現れ、診断がつきやすい傾向
気分の高揚が顕著に見受けられ、この時は普段以上に「活動的」になっている
周囲からは「あれ?いつもと違う」と気が付かれることが多いです
例)
・気分が高揚している時に高額な買い物をしてしまったことがある_30代女性
・気が大きくなってしまい、失言が多くなったり多弁になることがある_40代男性

双極Ⅰ型障がいのグラフ

<双極Ⅱ型障がい>

I型と比較して、うつ状態でいる時が比較的長い
本人は「あれ?今日調子いいぞ」という程度の高揚なため周囲は変化に気が付きにくい
例)
・少し調子の良いはあるが気分が憂鬱な時の方が多いので「うつ病」と思っていた_20代女性
・調子の良い日が数日続いた後は必ず気持ちが落ちてしまう_40代男性

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このような気分の波が繰り返し生じており「躁状態でもうつ状態でもない時」が短いです。
また、躁状態の期間よりうつ状態の期間の方が長く、また、躁状態(調子が良いと感じる期間)の時には受診しないケースが多い為、初診で「うつ病」と診断されることが多いです。
では、こんなにも気分の波が繰り返し生じてしまう理由がどこにあるかお伝えします。

原因は何?うつ病から始まるケースが多い

原因は明確になっていません。しかし、脳の働きなど身体的な理由によるものが強いと考えられています。もちろん、ストレスやきっかけになることもあるようですが、単純に「心の病気」ではありません。したがって、カウンセリングや精神療法だけでは症状の緩和に繋がっても、根本的な治療は出来ません。また、この病気は1,000人に7人ほどの割合で発症しており、誰でもなりうる病気です。
うつ症状の期間が長いことや、躁状態に気が付きにくいことなどから「うつ病」から始まるケースが多いです。そのため診断が、うつ病から躁うつ病に診断が変化することも良くあります。
こんなにも、気分の波が生じている中で働けるの?気分で仕事の成果も左右されてしまうのでは?と心配の念を抱きませんか。
これまで、転職活動に関わらせていただいた方々のエピソードを交えながら「就業可能」であることをお伝えします。

安定して働けるの?

まずは、症状に合った服薬を行えているかどうかです。双極性障がいでは、気分の波の振れ幅を出来る限り小さくするための「気分を安定」させる薬を服用されることが一般的です。
これは、血圧の薬と同じように日々続けることが大事です。症状が現れた時にだけ服用してもあまり効果はありません。
更に大事なことは、気分の変化のサインに本人が理解されているかどうかです。
そして、異変を感じたらすぐに受診をして波の振れ幅を最小限にすることが必要です。
そのため、安心・安定そして長期間働く為には「気分の変化のサインに気が付くことが出来るか」です。

こんなお話を聞きましたよ。

<生活リズムが一定だから変化に気が付く_30代男性>

毎日同じサイクルの生活を送っている双極Ⅰ型障がいの30代男性。
決まった時間に寝る・起きる・食事・仕事をすることですぐに異変に気が付くことが出来るそうです。睡眠時間が短くても疲れを感じない時は「躁状態」、同じ時間に寝ても翌朝起きられない時は「うつ状態の始まり」。
それらの兆候は会社にも伝えていらっしゃいます。兆候が現れたら定期通院を待たずして受診をする。このような対応をされていることで、欠勤するほどの状態にはならず、早退または遅刻が月に1回程度で就業出来ています。

<常に8割の力で過ごすことで安定している_40代女性>

「まだ出来る」「もっと仕事したい」このような気持ちを抑えて、常に8割くらいの力で生活することで、気分の振れ幅を小さくできている、双極Ⅱ型障がいの40代女性。
日常でも、職場でも「力8分目」で活動する事が、元気すぎることもなく、元気なさすぎることもなく、一定の状態で過ごすことが出来ていらっしゃいます。このように過ごすことで、週5日フルタイムで1年以上就労されていらっしゃいます。

いかがでしょうか。
診断を受けている方は、気分が変わる前兆や兆候を書き出してみると良いかもしれませんね。
企業の採用ご担当者様は、体調が変化している時のサインを面接時に確認されておくと良いですよ。その変化が見受けられた際には、受診を勧めてあげてください。
双方の障がい理解があることで、気分の波を小さくできて長期安定就労が実現できますよ。

今後も、皆様に役立つ情報をお知らせしていきます。


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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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