2018年8月15日更新

精神障がい者の雇用義務化へ向けた対策セミナー ~事例で学ぶ、障がい者雇用のトレンドと先進事例のご紹介~ Part3

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雇用は雇ったらそれで終わり、というものではありません。各種の事務的手続きから育成、サポートまで様々なリソースを割き、コストをかける必要があります。そこで問題となってくるのが定着率です。
厚生労働省が発表した平成27年度の就労者全体の1年後の離職率は16.7%、つまり定着率は83.7%です。一方、「障がい者の就業状況等に関する調査研究(2017年, JEED)」によると、精神障がい者の1年後の職場定着率は49.2%。全体の離職率と比べると、非常に低い数値となっていることがわかります。
その中でスタートラインのサテライトオフィスに就労している精神障がい者の職場定着率は82.7%をマーク。オープンハウス様のサテライトオフィスに至っては、さらにそれを上回る88.9%を記録しています。その数字を支えたものは何だったのでしょうか?

週に一度の面談と月に一度の通院休暇

サテライトオフィス従業員の1週間の仕事の流れは、ある程度決められています。その中で特徴的なのは、毎週水曜日にスタートラインスタッフとの定期面談を行っているという点です。1人につき20~30分ほどの時間を使い、仕事面や体調面などの状況を確認しています。この定期面談の内容は次週の月曜日に大隣氏に共有される仕組みになっています。

「実はこの定期面談が定着に結びついているのではないかと思います」大隣氏はそうおっしゃいました。上司や本社の従業員に直接言いづらいことも、サテライトオフィスのスタッフにだったら打ち明けられる・・・そんな効果もあると思われます。

また月に一度、精神障がい者向けに通院のための特別休暇制度を設けているとのこと。病院に行くためには仕事を休まなければならない、それなら我慢しよう・・・その繰り返しは症状の悪化につながりかねません。気兼ねなく通院ができる、それも気持ちよく仕事を続けるために必要なことなのです。

会社への帰属意識を育むために

サテライトオフィスにおける懸念事項の1つに、「サテライトオフィス従業員の帰属意識の育成」というものがあります。企業への帰属意識はよりよい成果を生むために必要不可欠です。サテライトオフィスで働いていると、どうしても所属している企業の理念や仲間の持つ意識に触れる機会が少なくなります。そうするとどうしても、帰属意識が希薄になってしまうのです。

大隣氏はその問題の解消のために、月に一度は必ず面と向かって話をする必要があるのではないかと提案します。事実大隣氏は月次のミーティングや賞与のフィードバックなどで、月に一度は必ずサテライトオフィスを訪れているそうです。業務の切り出し担当者などの他の従業員とも、四半期に一度の表彰式で顔を合わせます。表彰式の際には全社方針の共有も行っています。そのように「サテライトオフィスだけが自分の属している世界」とならないように様々な施策を行うことが、帰属意識を高める上で大切なことなのです。

そのようにして、今やオープンハウス様にとってなくてはならないものとなったサテライトオフィス。思わぬ副次的な効果も生まれたといいます。

メンタル不調で休職した社員のリハビリの場へ

さらに、サテライトオフィスは思いがけない効果を生みました。

厚生労働省の発表によると、平成28年のメンタルの不調で1ヶ月以上休業した就業者の割合は0.4%です。平成28年の年間平均就業者数は6440万人なので、単純に考えるとメンタルの不調で休業した就業者数は25万人以上ということになります。

オープンハウス様にも、そのようなメンタル不調に陥った従業員がいたとのこと。不調を治し職場に復帰することを望んでいたため、復帰するための準備の場としてサテライトオフィスを活用しました。サテライトオフィスでの勤務開始から3ヶ月後に本社勤務へ問題なく復帰できたとのことです。

一度メンタルの不調に陥ると、完全に復調するためには本人の努力とともに周りのサポートが必要不可欠です。しかし、どのようにサポートをしていけばいいか知っている人はそれほど多くありません。サテライトオフィスであれば周りの従業員も、サテライトオフィスのスタッフもどのようにサポートすればいいかを知っています。本人が頑張りすぎたり周りが不用意に気を遣いすぎたりすることなく、スムーズに職場復帰を促すことができたのです。

障がいがある方が働く上での制約をどのように支援し、活用するか

サテライトオフィス従業員には主業務に付随する業務を任せていましたが、今後の展望として新規用地仕入情報の確認や登録、CADによる敷地図の作成などの主業務の移管も始めているといいます。

「我々の人権方針は、『障がいのある方が働く上での制約をどのように支援し、活用するか』です。車椅子の方が弊社の事業所がある渋谷やバックオフィスがある丸ノ内のような都心まで通ってくるのには困難が伴います。そこで、少し遠方にある八王子事務所や横浜事務所に通う。そのような制約がある中でも、適切な業務が振られていれば、正社員以上にパフォーマンスが高いという結果が出ているメンバーもいるのです。本社の受け入れ体制というハード面を整えるのではなく、サテライトオフィスというソフトを導入したことで、高い定着率を実現することができました。非常に優れた施策ではないかと思います」

冒頭の繰り返しとなりますが、雇用は雇ったらそれで終わり、というわけではありません。障がい者雇用においては職域開拓から採用、研修、サポート・・・と様々な段階を経て、ようやく職場への定着に結びつきます。そこに至るまでを、企業が全て面倒を見るには、莫大なコストがかかるというのが現状です。そこでサテライトオフィスのようなソフトを利用し、双方にストレスなく業務に携わってもらう。そのことの大切さを、大隣氏は説きました。

第3部は大隣氏に加え、株式会社スタートライン コンサルティングセールス本部 深山と八王子センター長 佐藤の3人で、座談会形式で進められました。複数の企業が集まったサテライトオフィスのセキュリティはどうなっているのか?導入にあたり経営層の理解をどうやって得たのか?などの様々な質問に本音でお答えいただいています。次回は、導入にあたっての「ぶっちゃけ」事情に迫ります。

 


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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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