2018年3月31日更新

障がい者雇用~職域開拓の進め方

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障がい者雇用は職域開拓からスタートしよう

私は前職で、人事担当として、10名程の障がい者で構成する社内アウトソーシング部門を立ち上げ、自立し、自走するチームを創るという貴重な経験をさせてもらいました。
このチームを立ち上げる前までは、法定雇用率を満たすために、

求人→採用選考→採用→配属→雇用管理・定着支援

というサイクルを繰り返していました。
人事としては、地道に雇用を増やしてはいたものの、次第に常用雇用者数の増加に、障がい者雇用が追い付かない状況となっていきました。
そのような中、法定雇用率を満たすための雇用では限界があることを痛感し、「企業の義務としての雇用から事業へ貢献する障がい者雇用」へと、障がい者雇用の取り組みへの考え方を全面的に改めたことで、社内アウトソーシング部門を立ち上げるという発想に至り、事業活動そのものに関わる障がい者雇用を実現できたのだと振り返っています。
最近では、同社と同じように、障がい者のチームが企業内の間接部門だけではなく、直接部門の業務の一部分を担い、事業へ直接的に貢献している企業は増えてきていることを実感することが多くなってきました。嬉しい限りです。

さて、事業に貢献する雇用を実現するための人材育成の方法には様々な考え方があります。

・充分に研修・訓練を行ってから実務に就く
・研修や訓練は本人のやる気をそぐことに繋がるので、実務に従事する中で、本人の適性や関心に合わせて担当する実務を決めていく

などです。
育成方法については、各社で育成を担当する人の人数も、育成に割ける工数も異なりますし、業務内容も異なりますので、どの方法が正解、ということはありません。

むしろ、一番重要なのは、「職域開拓」をどれだけ具体的に進められるか、だと私は考えています。
「職域開拓」をうまく行うことができれば、障がい者雇用の難所を一つ切り抜けたといっても過言ではないと思います。

それでは、この「職域開拓」の進め方についてお話ししていきましょう。大きなステップは次の通りです。

1. 社長が、事業に貢献するための障がい者雇用を行うことを全社にアナウンスする。
L会社が“経営戦略”として障がい者雇用に取り組むことを周知します。会社としての本気度を全社に伝える大切なステップです。

2. 人事担当者が、「業務調査」を行う。
L社内で、恒常的に残業が多い部署や、最近新規の業務が増えた部署、業務プロセスが一定で且つ安定した業務量がある部署を中心にピックアップし、「業務調査シート」への回答を依頼します。
L「業務調査シート」には、当該部署で行っている業務内容、業務プロセス、業務量、担当者人数、工数、他部署との関与の有無、現状での問題点などについて回答してもらいます。
Lこの「業務調査シート」はあくまでも事前に状況を把握するためのシートという位置づけにします。あまり細かい部分まで記入してもらおうとすると、記入自体に負荷が掛かるため、現場にはそれだけでマイナスの印象を与えかねませんので注意が必要です。

3. 「業務調査シート」の分析をする。
L回収した「業務調査シート」上の情報から、障がい者への業務切り出しの可能性がありそうな部署を選択します。

4. 3.で選択した部署へヒアリングを実施する。
L「業務調査シート」を元に、部署の責任者と実務担当者の両方に対してヒアリングを行います。ヒアリングでは、その業務担当者が当たり前と思って行っている業務でも、そのプロセスをできるだけ細かく分解して詳細なプロセスを確認しながら行うことを意識します。

5. 切り出しが可能な業務を確定する。
L4.でヒアリングした中で、切り出しが可能な業務を決定します。決定にあたっては、現担当部署に対して、事業に貢献する障がい者雇用を実現するための施策であることをブレずに伝え、その意図を理解してもらいましょう。
L業務を担当する部署だけでなく、関連部署の理解を促進することも忘れずに。
L業務を切り出す(業務移管する)スケジュールも併せて決めていきます。

6. 業務プロセスをマニュアル化する。
Lマニュアルがすでにある場合はそれを加工し、無い場合は現担当部署に協力してもらいながら作成します。
L作成したマニュアルで品質や量が担保できるかの検証作業を行うことも大切です。

以上が「職域開拓」の進め方です。

このステップを進める中で、業務プロセスの単純化や無駄なプロセスを削除するといったことも出てきますので、職域開拓を行うこと自体が業務の効率化に繋がっていることを実感するのではないかと思います。
進めていくうちにコツが掴めてきますので、まずは小さな職域開拓からスタートし、徐々に大きなものへ移っていくのがお勧めです。

そして、これまでも何度も記事の中で触れていることですが、人事がこうした動きを通じて事業・現場の実態を知り、現場の業務改善や効率化に貢献することで、社内から期待される人事、求められる人事になっていきたいものですね。

 

<プロフィール> オフィス温度28℃代表。専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 梶原 温美(かじはら はるみ)
オフィス温度28℃代表。
専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。
「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。
問い合わせ先
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startnext@start-line.jp

 


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この記事を書いた人

STARTNEXT!

StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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