CSRと障がい者雇用

今日は、CSRと障がい者雇用について、お話したいと思います。

CSR(corporate social responsibility)は、日本語では、「企業の社会的責任」と訳することが一般的です。
これをもう少し掘り下げてみましょう。
企業は、大規模になっていくと、単にステークホルダー(株主・従業員・仕入先等の関係者・顧客など)に対してだけではなく、社会全体に対して影響を与える存在となっていきます。したがって、企業自体は、社会へ影響を与える存在として、責任を果たすことが求められます。
事業を拡大させ、利益を出すことによって納税すること自体も、企業が社会に対して責任を果たすことではありますが、CSRでいう企業の責任とは、「環境保全」、「人権擁護」、「ダイバーシティの推進」、「人材育成」、そして「障がい者雇用の促進」などの社会的な課題に対して積極的に取り組むことも含んでいます。

このような社会的課題の解決に向けた積極的な取り組みは、その企業が持つ本業の強みを活かした形で行われることが重要だと言われています。
東洋経済CSR企業ランキングの上位に名を連ねる企業(2017年=第1位:富士フィルムホールディングス、第2位:ブリヂストン、第3位:KDDIなど)はどこも、本業をベースにして、国内外で様々なCSR活動を行い、社会に貢献しています。

企業がCSRへの取り組みの一つとして、障がい者雇用の促進を図る際、目指すところは、本業の強みを活かした障がい者の活躍の場を拡げることだと思いますが、これを一足飛びに実現するのはなかなか難しいものです。

そこでまずは、障がいを持つ社員が事業(本業)に貢献する機会を増やす、という考え方を起点に、CSRへの取り組みの一つとして障がい者雇用を考えてみてはいかがでしょうか。
多くの企業が、国から法定雇用率の達成を求められていることを大前提に障がい者雇用に取り組んでいますが、障がい者雇用は、法定雇用率を満たすために行うもの、という考え方からスタートすると、得てして、
「障がい者社員向けの業務の切り出しができない」
であるとか、
「健常者社員とは異なる業務を任せることを前提にして業務を切り出す」
といった発想に繋がりかねません。
しかし、障がいを持つ社員も健常者社員と同様に、ステークホルダーの一員であると同時に、企業が事業を拡大していくことに貢献する大事なメンバーであるということを起点にすると、
「障がいがあってもできる業務は何か?」
から、
「障がい者の強みを活かす業務は何か?」
という考えをベースにして、障がい者雇用を捉えることができると思います。
単調で細かな作業を根気強く続けることが必要な業務はないか?
細かなルールに沿って、正確性を求められる業務はないか?
などと考えていくと、障がい特性を活かした業務は出てくるものです。

こうして障がい者の力を事業に活かすことを前提に業務切り出しを考える際には、今まで行っていた一連の業務を各プロセスに分解してみた上で、それぞれのプロセスで求められること(成果)は何か?を考えていくことも肝要です。
プロセス毎に分解することで、他の業務と一緒に行った方が効率が良いことに気づく、など、生産性の向上に繋がることもあります。このように、障がい者雇用自体が企業の活動そのものにプラスの影響を与えることは多々あります。

1月30日に厚生労働省から発表された2017年12月の有効求人倍率は、1.59倍の高水準、さらに長期的にみると、日本の労働生産人口の減少傾向には残念ながら歯止めがかかりません。
このような外部環境の中、障がいを持つ社員の強みを事業に活かすことで、労働力を担保し、生産性を高め、質の良いモノやサービスを生み出すことで、企業の価値を高めるという連鎖を実現することがCSRへの積極的な取り組みそのものなのではないでしょうか。

 

<プロフィール> オフィス温度28℃代表。専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 梶原 温美(かじはら はるみ)
オフィス温度28℃代表。
専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。
「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。
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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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