障がい者スポーツとパラリンピックの未来を考える

Start NEXT!読者のみなさま、こんにちは。株式会社セプティメルスポーツの水上航太郎です。

 約1年半続いたこの連載も今回で最終回となります。これまで様々なテーマを取り上げてきましたが、今回は締めくくりの意味も込めて障がい者スポーツやパラリンピックの未来について考えてみたいと思います。

 障がい者スポーツ最大の祭典であるパラリンピックを統括するIPC(国際パラリンピック委員会)では、今年大きな変化がありました。2001年から2代目会長として指揮をとってきたフィリップ・クレイブン氏が2017年を以て退任し、3代目会長にブラジルのアンドリュー・パーソンズ氏が就任。パーソンズ新会長は40歳の若さながらアメリカパラリンピック委員会会長の経験がある他、2016年のリオパラリンピックはブラジルパラリンピック委員会会長として大会を成功へ導きました。経験豊富な若手会長の下、IPCは未来へ向けた様々な施策を打ち出してくることでしょう。

 どのような施策が出てくるのか、いくつか予想してみましょう。今年8月にオンラインで公開されたIPCの2016年間レポート内に、パラリンピックを世界トップレベルのスポーツイベントとするための戦略的優先事項が記載されているのですが、その1つに「高い質かつ理解しやすい競技プログラムを提供することにより、パラリンピックをさらに魅力的なものとする」とあります。

 「高い質」はそのまま競技レベルの向上と読み取れます。ピラミッドの頂点であるパラリンピックのレベルを上げるためには、基礎部分であるグラスルーツの広がりが必要ですから、競技人口増加のための選手発掘プログラムが今まで以上に活発になってくると思われます。その結果として、これまであまり多く選手を排出してこなかった国の存在感が増してくるのではないでしょうか。また、大会の数も増えるでしょうから、障がい者スポーツがより身近で当たり前な存在になってくるでしょう。

「理解しやすい」は、永遠のテーマとも言えるクラス分けについての言及でしょうか。障がい者スポーツの本質であると同時に、初めて観戦する人にとっては越えなければならないハードルでもあります。これまでも様々な方法で説明されてきましたが、今後期待したいのはIT技術を利用したもの。例えば選手にスマホをかざすとARでクラスや選手の説明が表示されたりすると、興味を持った瞬間に情報が得られるので、より良い理解に繋がるのではないでしょうか。これが実現可能かはわかりませんが、やはり最先端の技術を利用した「理解しやすさ」は期待したいです。
 

パラリンピックの新競技に推したいパラダンススポーツ
パラリンピックの新競技に推したいパラダンススポーツ

 
 また、新競技のパラリンピックへの採用も期待したいところです。夏季大会は既に競技数が飽和しており難しいですが、冬季大会では2022年北京でボブスレーが新たに採用される予定です。個人的に冬に関係なくても冬季大会に採用して欲しいのが、パラダンススポーツ。フィギュアスケートに通ずるところもある非常に魅力的な競技なので、夏に追加できないのであれば、思い切って冬季大会の種目にしても良いのではないでしょうか。

 この他にも予想や期待を挙げるとキリがないのでこの辺りで止めておきますが、皆さんも「こうなって欲しい」「これが実現できたらもっと面白くなる」といったアイディアはありますでしょうか?選手や関係者だけではなく、ファンや観客も一体となって新しい文化を作っていく。それこそが私が一番望む障がい者スポーツの未来です。

 

20160623emori_rogo 株式会社セプティメルスポーツ
水上 航太郎
1981年札幌市生まれ。
1993年のJリーグ発足をきっかけに、スポーツ観戦がライフワークの1つとなる。サッカー好きが高じて大学卒業後にバルセロナに渡り、現地で日本向けのライター職などをしながら3年スペインに滞在。帰国後はIT関係職に就きスポーツを趣味として楽しんでいたが、2013年に株式会社セプティメルスポーツを設立し現在に至る。
趣味は旅行とスポーツ観戦。最近特に好きなスポーツはアメフト、クリケット、ボッチャ。
株式会社セプティメルスポーツ
パラタイムズ

 


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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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