働き方改革と障がい者雇用を考える

こんにちは。オフィス温度28℃の梶原です。

2016年9月に、労使団体のトップも顔を揃える「働き方改革実現会議」が設置されて1年。いよいよ具体的な法令の骨子が固まってきて、その対応への意識の高まりと共に、具体的な社内制度や施策の整備がスタートした企業も増えてきました。

この改革の骨子は主に次の通りです。
●同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
●賃金引き上げと労働生産性向上
●罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正
●柔軟な働き方がしやすい環境整備
●女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備
●病気の治療と仕事の両立
●子育て・介護等と仕事の両立、障がい者の就労
●雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援
●誰にでもチャンスのある教育環境の整備
●高齢者の就業促進
●外国人材の受け入れ
(出典:働き方改革実現会議による「働き方改革実行計画」—平成29年3月28日発表—より)

企業における障がい者雇用は、この働き方改革以前から、法定雇用率の引き上げや企業の意識変化により、雇用人数の増加や業務の多様化、そして障がい者が働きやすい就業場所の創出(サテライトオフィス、テレワークなど)が促進されてきていますが、今後、この改革に基づく法令が施行されることで、より一層雇用が促進されていくことは大変望ましいことです。

働き方改革における生産性の向上と障がい者雇用

今回は働き方改革の大きなテーマの一つである「生産性の向上」についてお話ししたいと思います。
少子化・高齢化による労働力人口の減少により、人手が不足する中、労働生産性の高い働き方を企業内で促進することが求められています。すでに生産性の高さを評価指標の一つにするように人事評価制度を変更する企業も出てきています。
言わずもがなですが、生産性を向上し、収益を上げることを追求し続けることは企業が存続し続けるための原理原則ですが、人事部には、生産性の高い働き方を社員に求めることが、障がい者と共に働くこと自体が生産性の低下に繋がるのではないか、という懸念を社員が抱かないように配慮する仕組みを作ることが求められるのではないかと考えています。

障がい者の中には、障がい特性上、勤務時間や業務内容に一定の要件(制約)を設け、その配慮が長期的に就業する大きな後ろ盾になるケースが多くあります。人事部は、会社から生産性を向上させる働き方を求められる社員に対して、これらの要件を必要とする障がい者と共に業務を行うことが生産性を低下させ、ひいては人事的な評価を下げることとは直結しない、という人事姿勢を社内に明確に示すことが必要です。この取り組みを行わないと、障がい者を受け入れることに抵抗感を示す部署が出てくることが想定されます。

人事姿勢の示し方については、会社が社員に対して何を大切にしていくか、そして各社の状況を踏まえて考えいくところではありますが、私は、障がい者を受け入れ、共に働く部署に関しては、各個人の生産性だけではなく、組織全体の生産性を上げることを求めそれ自体を評価する仕組みを導入することがよいのではないかと考えます。
これには、障がい者を受け入れたことで既存の社員の残業時間が減り、心身共に、よりゆとりのある生き方を促すという意味合いでも意義のあることではないでしょうか。まさしく働き方改革による新制度で2019年4月以降、残業時間の上限が設けられる見込みでもありますので、よりスムーズな受け入れが可能だと思われます。

組織全体の生産性を向上させることは、これまでの業務の仕組みやフローを見直し、変革することからスタートすることは言うまでもありません。
そして、障がい者と共に働くこともまた、業務の仕組みやフローの変革を必要とすることでもあります。
人事部としては、「生産性を向上させること」と「障がい者と共に働くこと」が相反するものでは決してなく、事業への貢献と働く人の意識とスキルを向上させることでもある、ということを社員の皆さんに継続的に発信していくことが、働き方改革の実現であることを常に意識の中心においておきたいものです。

 

<プロフィール> オフィス温度28℃代表。専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 梶原 温美(かじはら はるみ)
オフィス温度28℃代表。
専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。
「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。
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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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