2017年6月19日更新

精神障がいを持った方の職場定着支援に必要なのは 「広く優しい心」よりも「課題を分析しアプローチする力」

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Business concepts, start to goal

StartNEXT!をご覧の皆様、はじめまして。

私は、株式会社スタートラインの運営する障がいをお持ちの方が働くサポート付きシェアオフィス(サテライトオフィス)にてサポーター職として勤務しています。現在は開設したてのオフィスに3ヶ月間派遣社員として常駐し、精神障がい者手帳をお持ちの方々とご一緒に自立稼働に向けたスタートアップ支援を行っております。

早速ですがあなたはサポーターという仕事について、どんなイメージをお持ちになりますか?優しく寄り添って話を聞いてあげるイメージでしょうか?実は私の周りでこの仕事のイメージを聞くと、およそ8割近くの人がこちらの回答を挙げる印象です。

 

精神障がい者へのサポートは、優しさだけでは成り立たない

さて、この記事のテーマは、ズバリ「精神障がい者雇用の現場で大切なことは、優しさよりも課題解決力である」ということです。

人としてある程度の優しさを持つのはもちろんのことですが、実際のところこの仕事は、優しいだけでは成り立たないことを日々痛感しています。それ以上に、オフィスの皆様に何か問題が起きたときに(あるいは起こるのを防ぐために)できるだけ早くその課題を分析しアプローチしていく、コンサルティングに近い感覚を持って毎日仕事をしているように思います。

というのも、ご存知の通り精神障がいをお持ちの方の1年以内離職率は50%と言われていますから、課題となる行動にはより一層迅速なアプローチが不可欠と考えているからです。

例えばオフィス内で、ある方が「業務説明が理解出来なかった」と訴えてきたとします。その時私たちサポーターはまず思いつく限り、アプローチの手札となる要因を頭の中で想像します。

具体的には『そもそもこちらからの説明に不備はなかったか?』『どこがどのように理解出来なかったのか?』『説明を受けた状況は?どのような環境だったか?』『入社時にご本人から説明があった配慮事項に、この問題に繋がるような事項はなかったか?』『あくまで“一般的な”障がい特性にあてはまる傾向が見られるか?』などです。

様々な要因を念頭に置いた上で、ご本人と認識をすり合わせながら職場への定着を図るPDCAサイクルを回し続ける、そんなお仕事をしていると考えていただければと思います。

必要なのはちょっとした工夫

こうした中で、課題解決のためのPDCAサイクルを円滑に回すためにはちょっとした工夫やアプローチが必要となってきます。

この記事を読んでいるあなたの中に「職場の精神障がい者に接していくことって、すごく大変で面倒なことなのではないか」という考えがあるのならば、その思考をちょっとだけ切り替えてみてはいかがでしょうか。

ということで、後半は私が職場で実践している「ちょっとした工夫や心がけ」を4つご紹介したいと思います。
▽説明はシンプル、かつ具体的に
障がいをお持ちの方が多く集まるオフィスで起こりがちなことの1つが「双方の認識の齟齬」です。

例えば発達障がいをお持ちの方は、曖昧な指示をされると頭がパニックになってしまう方が多いので、説明はシンプルでかつ具体的に、業務内容がイメージ出来るよう心がけています。また「あれ」「それ」などの曖昧な指示や、複数の意味に取れる言葉も苦手とされる方が少なくありません。明快な図表やスクリーンショットを活用したマニュアルなども活用出来るでしょう。
▽良かった行動には、小さなことでもプラスの反応を返す
精神疾患や発達障がいをお持ちの方には、幼いころから自分の行動を否定され続けてきた経験などによりストレス耐性が極端に低い方がいます。こちらからたった一言返事がなかっただけで「自分は悪いことをしてしまったのではないか?」と感じて気持ちが落ち込んでしまうのです。

そのため、彼らの職場定着においては、面倒くさがらず小さな行動に対しても言葉や態度で承認していく姿勢が大切です。

その際に私が意識しているのは、「いいですね」「ありがとうございます」と返すだけでなく、どんな行動に対して良いと感じたのか具体的に言葉にすることです。上記のように、障がいの特性によっては曖昧な表現がわかりづらい方もいらっしゃいます。そこで小さなことでも「どこがよかったのか」きちんと示したほうが効果的だと感じています。
▽やみくもに手助けしないこと
福祉業界のやりがいとして「人を助けることで『ありがとう』と言われるのが嬉しい」といった言葉をよく聞きます。私もオフィスの皆様から「ありがとう」「頼りにしてます」などと言われるとちょっと嬉しくなってしまい、またこの発言が欲しくなることがあります。

ですが私ではなく、ご本人が、就労意欲の継続や会社の一員としての責務を感じていただくためにも「自分の力で会社に貢献している」感覚を持てるよう、手助けしすぎず根気強く見守ることを心がけています。

何よりサポートする側のほうが、いつの間にか「頼られることで悦びを感じてしまっている」ようでは本末転倒です。
▽出来る限り多くの周りの人に協力を仰ぐこと
最後に、精神障がいをお持ちの方のサポートをするにあたり、周りの方の協力を仰ぐことは必須です。理由は簡単で、自分が持てるだけの手札を出したところで出来るサポートはたかが知れているからです。

さらに人ありきの問題ですから、時にはうまくいかない場合も当然存在します(むしろ想像通りに行かないことの方が多いものです)。自分だけでは解決出来ない、荷が重そうだと感じたら、周りの人にも声をかけて多面的に課題を解決していく姿勢が重要です。

またサポートする側も風邪を引いたり嫌なことがあったりした時には、どうしても人の配慮にまで気が回らないこともありますよね。そのような時は自分の余裕がない状態を受け入れ、事情を知っている周りの人を頼りましょう。精神障がいをお持ちの方はちょっとした態度の変化に敏感ですから、あなた自身に余裕がない時は無理に対応せず周りにお願いすることも大事なのです。

 


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この記事を書いた人

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StartNEXT!編集部
この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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