知的障がいでも決めつけはNG!個性に合わせて指導を進めよう!

知的障がいは、身体障がいや精神障がいと異なり、まずどのように理解してもらうか?という課題が大きくなります。どのような仕事でも、作業や手順を覚えることが基本です。安全面も含め、知的障がいとの向き合い方をしっかり準備しておきましょう。

職場は危険な機械もあるので、知的障がい者の雇用は難しい?

事務や軽作業の場合、それほど危険を伴うことはないかもしれません。ただ、大きな機械を使ような業種では、危険を伴うこともあります。

「ケガにつながるのではないか?」「手順やルールを覚えてもらえるだろうか?」「危ない場所は入らないようにさせておこう」など、実際に心配する声も少なくないようです。

障がいをもっていなくても、うっかりミスやケガをしてしまうことがあるため、当然の心配かもしれません。しかし、知的障がい者が、安全意識や危機回避能力を持ち合わせていないと一概に判断するのは間違っています。

イラストで表現したり、色分けをしてわかりやすく示したり、実際に見せたりするなど、さまざまな工夫を凝らせば、しっかり手順を覚えてもらうことができます。

「一度理解したあとは、ルールをしっかり守ってくれる。」「安全面や環境を見直すきっかけになり、事故や不良も減った」という声が、現場から多く聞かれるのもたしかですので、まずは決めつけないということを頭に置いておきましょう。

知的障がい者ひとりひとりには、向き不向きがあります

ある商品の袋詰め作業をしている職場では、知的障がいを持つ従業員の集中力が続かないことが問題となっていました。始業から2時間くらいすると、あくびをする、手が止まる、ウロウロする、居眠りをするなどの問題が起きるようになっていたのです。

一度覚えれば、まじめにコツコツ作業を続けてくれる方もいるのですが、ひとりひとりには、個性があり、障がいを持っていない人と同様、長時間集中することが苦手という方も少なくありません。こういった場合、長時間同じ作業ではなく、1~2時間ごとに作業を変えてメリハリをつけたり、作業環境を変えたりするという手が考えられます。

また、中には、ライン作業でよくみられる、ほかの人と向き合って仕事をすることを苦手という方もいます。こういった場合は、壁に机をつけたり、パーテンションで区切ったりして、作業中はなるべくほかの人を意識させない環境に変えることもひとつの方法。まずは、個々に合わせた環境を作って、効率よく働けるよう体制を整えていきましょう。

補助的役割ではなく、職場に欠かせない存在に育てる

障がい者優良事業所として県知事表彰を受賞したこともある縫製会社では、昭和56年にはじめて身体障がい者を雇用して以来、現在でも多くの障がい者が働いています。

そこで働く知的障がい者のひとりは、「同時に複数のことに注意を向ける」ことが苦手で、ミシンを使った作業手順を、うまく覚えることができませんでした。そのため、安全面を考慮し、製品のラベル付けや検品といった、補助的な業務を担当してもらうことになったのです。

しかし、本人がミシンを使った仕事を強く希望していたため、障害者作業施設設置等助成金を活用して、知的障がいをもっていても、プログラムが補助をしてくれる電子ミシンを導入。すると、スムーズに作業を覚えることができ、ほとんどミスなく作業できるようになったのです。

通常の手順で作業を覚えてもらうのが難しいからといって、補助的な仕事しかできないと決めつけてしまっていたなら、せっかくの能力を引き出せていなかったかもしれません。助成金などを活用して、必要な補助、工夫を凝らした方法を施せば、障がいの有無に関係なく、職場には欠かせない存在になることができるのです。

知的障がい者の雇用においても、職場にとって必要な存在に育てる意識と、取り組みが欠かせません。実習の実施や、補助金を活用した環境作りで、結果を出してもらうよう努めましょう。工夫を凝らせば、いままで見えてこなかった職場の改善点に気づけるかもしれません。

 


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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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