障がい者スポーツの競技名が「パラ○○」に統一される日がやって来る!?

Start NEXT!読者のみなさま、こんにちは。株式会社セプティメルスポーツの水上航太郎です。

 

突然ですが、昨年11月30日に障がい者スポーツ10競技のIPC(国際パラリンピック委員会)における正式名称が変更されたのはご存知でしょうか?IPCがIF(国際競技連盟)としての機能を果たしている競技が10あり、それら連盟の名称変更に際し競技名も変更となりました。

 

以下がその10競技。新競技名(旧競技名)で表記しています。

 

・パラ陸上(陸上)

・パラパワーリフティング(パワーリフティング)

・パラ水泳(水泳)

・パラアルペンスキー(アルペンスキー)

・パラバイアスロン(バイアスロン)

・パラクロスカントリースキー(クロスカントリースキー)

・パラスノーボード(スノーボード)

・パラ射撃(射撃)

・パラダンススポーツ(車いすダンススポーツ)

・パラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)

 

パラ陸上からパラ射撃まではこれまでの名称に「パラ」の冠がつきました(パラ射撃は英文表記ではShooting para sports)。パラダンススポーツとパラアイスホッケーは「車いす」「スレッジ(そり)」という道具を示す言葉が無くなる大きな変更となっています。

 

これらの名称変更はパラリンピック再ブランド化の一環とされ、「パラ」という言葉によりオリンピックや健常者の競技との差別化を図ることや、各競技を普及する上での一貫性を得ることなどが目的として挙げられています。そこには「パラ」という言葉の認知度が、近年著しく向上していることが背景にあると思われます。

 

では、今後その他の競技の正式名称もこのように「パラ○○」に統一されていくのでしょうか。上述のもの以外で、2018年冬季の平昌、2020年夏季の東京で実施されるのは19競技。それらを名称の特徴で3グループに分けて考えてみましょう。

 

1つ目は、一般と同じ名称が使用されているもの。具体的にはアーチェリー、自転車、馬術、バドミントン、カヌー、トライアスロン、ボート、卓球、テコンドー、柔道の10競技です。これらの中には、既にIFが競技名を「パラ○○」としているものもありますから、IPCにおける正式名称となる可能性もありそうです。

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IPCでは「トライアスロン」表記だが、ITU(国際トライアスロン連合)主催大会では「パラトライアスロン」表記が使用されている。

 

2つ目は、競技の特徴が含まれているもの。車いすテニス、車椅子バスケットボール、車いすフェンシング、ウィルチェアーラグビー、車いすカーリング、5人制サッカー(通称ブラインドサッカー)、シッティングバレーボールの7競技です。

 

「車いす」「ウィルチェアー」が含まれる競技にとっては、車いすを使用することは大きな特徴ですから、パラテニスやパラフェンシングに名称変更するのはハードルが高そうです。また、サッカーには7人制(CP)や知的障がい(ID)など様々な競技があり、5人制をパラサッカーとしてしまうのは難しいでしょう。シッティングバレーボールも同様で、スタンディングバレーボールやシッティングビーチバレーボールがあり、これらの総称としてパラバレーボールという用語があるため、一競技名として使用されることは無いと思われます。

 

3つ目は、競技が障がい者スポーツオリジナルのもの。ボッチャ、ゴールボールがこれに当たります。そもそも独自の名称ですから、わざわざ「パラ」をつける必要はありませんね。

 

以上のことから、障がい者スポーツ競技の正式名称が「パラ○○」に統一されることは、おそらく無いと思われます。個人的には、ウィルチェアーラグビーやシッティングバレーボール、ボッチャなどの統一されていない競技名がある方が、障がい者スポーツ自身が内包する多様性をよく表していると感じますので、現状のままで良いと考えています。統一感があった方が良いのか、それとも今のままが良いのか、皆さんはどのようにお考えでしょうか?

 

20160623emori_rogo 株式会社セプティメルスポーツ
水上 航太郎
1981年札幌市生まれ。
1993年のJリーグ発足をきっかけに、スポーツ観戦がライフワークの1つとなる。サッカー好きが高じて大学卒業後にバルセロナに渡り、現地で日本向けのライター職などをしながら3年スペインに滞在。帰国後はIT関係職に就きスポーツを趣味として楽しんでいたが、2013年に株式会社セプティメルスポーツを設立し現在に至る。
趣味は旅行とスポーツ観戦。最近特に好きなスポーツはアメフト、クリケット、ボッチャ。
株式会社セプティメルスポーツ
パラタイムズ

 

 


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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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