300人未満の企業で雇用が進まないのはなぜ?

厚生労働省の障がい者雇用状況をみると、300人未満の企業では雇用が停滞していることがわかります。

雇用の支援

厚生労働省より公表された民間企業における平成27年の「障がい者雇用状況」ですが、全体の実雇用率としては1.88%ですが、企業規模別の状況としましては以下の通りとなっております。

 
50~100人未満 1.49%
100~300人未満 1.68%
300~500人未満 1.79%
500~1,000人未満 1.89%
1,000人以上 2.09%

今回の統計では、全体で1.88%と過去最高の実雇用率となったものの、300人未満の企業に関しては軒並み1.70%未満と全体の実雇用率平均と、差が開いていることがわかります。

なぜ、300人未満の企業は300人以上の企業と比較して障がい者雇用率が低迷しているのでしょうか。
そこで、今回は、障がい者職業総合センターが実施した、300人未満の企業と企業を支援する雇用・就労支援機関(以下、支援機関)双方へのアンケート結果を見ながら、その理由とギャップを紐解いてみたいと思います。

障がい者雇用の課題や制約となっている点は?

「障がい者雇用の課題や制約となっている点」について、300人未満の企業と企業を支援する雇用・就労支援機関の双方に質問したところ、次のような結果となりました。

【300人未満の企業の回答】
1位「作業内容・手順の改善」
2位「物理的な環境整備」
3位「作業を遂行する能力」

【雇用・就労支援機関の回答】
1位「現場従業員の理解」
2位「作業を遂行する能力」
3位「経営トップの理解(方針)」

これは、あらかじめ用意した12項目から、重要と思われるものを選ぶ回答形式になっているのですが、「作業を遂行する能力」に関しては大きな認識のズレはないとしても、それ以外の2つが大きくことなっています。支援機関側がそれぞれ、1位と3位に選択した「現場従業員の理解」と「経営トップの理解(方針)」に関しては、

 
項目 企業回答 支援機関回答
現場従業員の理解 15.1%(12項目中7位) 80.1%
経営トップの理解(方針) 3.8%(12項目中11位) 57.7%

このように回答値に、大きな乖離が見られます。この違いの違いはどこから来るのか?考えてみたいと思います。

想定する雇用者に大きなギャップあり!

まず支援機関をどのような障がいの方が利用しているのか、障がい種別の割合を見てみましょう。

【支援機関の利用者】
身体障がい 5.1%
知的障がい 49.4%
精神障がい 36.1%

(※残りに関しては無回答、支援機関・・・障害者就業・生活支援センター、就労移行支援実施事業所等)

このように、知的障がい及び精神障がいの方の利用が多いことがわかります。
一方で、現在障がい者を雇用している300人未満の企業に雇用障がい者の障がい種別のアンケートを行った結果が以下となります。

300人未満の企業の雇用障がい者の障がい種別(複数回答)
身体障がい 90.2%
知的障がい 15.1%
精神障がい 8.8%

上記の通り、身体障がい者の割合が非常に高く、知的障がい及び精神障がいの方の割合は低いことがわかります。300人未満の企業では、雇用障がい者として身体障がい者を想定しているのに対し、支援機関では知的障がい者や精神障がい者を想定していることが考えられます。

このような雇用障がい者の障がい種別に300人未満の企業と支援機関とでギャップとなっている点が、雇用を行う上での課題や制約の大きな要因と考えられます。

今後の障がい者雇用においては企業と支援機関とで、障がい者雇用にかかわる認識のギャップを縮めていく作業が求められると考えられます。

【参考】
独立行政法人高齢者・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 調査研究報告書No.114
「中小企業における障害者雇用促進の方策に関する研究」

 


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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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