企業で活躍する障がい者のために人事がすべきこと

こんにちは。オフィス温度28℃の梶原です。

75,384件中、60,902件(約81%)

これは、ハローワークに出ている東京都の障がい者を対象としたフルタイム求人の中の正社員求人の数です。(2016年10月28日現在)

職種は様々ですが、恐らくこの数年で、正社員求人件数や求人全体に占めるその割合は上昇傾向であることは間違いないでしょう。

 

障がいを持つ人が永く安定的に一つの企業で働きたいと考え、様々な求人情報を検索する際、「正社員雇用」を検索条件に入れることが多い中で、「改正障害者雇用促進法」に基づく施策により、働く意欲がある方が活躍できる場が増えていることはとても喜ばしいことです。

 

さて、こうして新規の正社員雇用を促進することで浮上してくる課題の一つとして、既存の有期雇用社員の正社員化(無期雇用化)があります。

既存の有期雇用社員にとって、後から入社してくる社員が、スキルや人材要件が未知数な中で正社員として入社してくるという“逆転現象”は職場に理不尽な不安定感を醸成してしまいます。「雇用の安定=正社員雇用」という考え方は障がいを持つ方々にとっても大きなポイントですし、得てしてこういう話は表面化することなく、じわじわと職場を不健全化していくことになりかねませんので、特に気をつけたいところです。

 

既存の有期雇用社員を正社員登用するための制度設計

そこで重要になってくるのが、既存の有期雇用社員を正社員登用するためのフローの確立です。

まずは、自社にとって、正社員とはどういう社員なのか?という要件を明らかにしましょう。

一般的に正社員雇用とは、入社後に部署異動の可能性もある「全社人材」雇用のことを指し、一方で有期雇用(契約社員等)とは、雇用契約書上で定めた業務を契約期間中に遂行することを定めた雇用のことを指します。

この要件をそのまま障がい者雇用に当てはめるのは難しいこともありますが、いずれにせよ、自社の求める「全社人材」の要件を明確にして、説明できる状態にすることが大切なのです。

具体的にどのように要件を決めれば良いのか迷われた場合は、ぜひ、前々号と前号でお話しした、「企業における障がい者のキャリア形成」を参考にしてください。

※前回の記事はこちらから
企業における障がい者のキャリア形成 ~前編~
企業における障がい者のキャリア形成 ~後編~

 

明確な基準に照らして定期的な評価を行い、その結果をフィードバックするというサイクルを回していくことで、一番重要である本人の納得感を得ることが可能となるでしょう。

加えて、各個人の評価を公開するという意味ではありませんが、もし社員から「なぜあの人が正社員になったのか?」という問いがあった場合に、人事として基準について明瞭な説明ができるようにしておきたいものです。

 

冒頭に触れたように、正社員求人件数が増加していることは、採用競争が激化していることも意味します。

こうした動向の中、正社員登用のフローを確立し、サイクルを回していくという仕組みを活用して企業の採用力を高めていきたいものです。

 

 

お話は変わりますが、先日ミャンマーの古都ヤンゴンで、主に日系企業に対する人材紹介の事業を行なっている企業の方に現地でお話を聞くことができました。

この企業では、ミャンマーに住む視覚障がい者の方の就業機会を創出するために、高度なマッサージ技術を活かした医療マッサージ店を運営しています。

日本人が設立した企業が異国の地で障がいを持つ方の働く場を創り出していることに、大きな意義と日本人としての誇りを感じると同時に、自分にできることは何か?をあらためて自問する機会となりました。自分にできることは小さなことかもしれませんが、引き続き様々なことに挑戦していきたいと思います。

 

 

<プロフィール> オフィス温度28℃代表。専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。 梶原 温美(かじはら はるみ)
オフィス温度28℃代表。
専門分野は、障がい者の雇用支援、人材育成、キャリア支援。
「自身の特性に向き合う人たちが尊重し合い、自走しながら事業に貢献する組織創り」を基本理念としている。
問い合わせ先
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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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