街の至る所で活躍するスペインの視覚障がい者たち

Start NEXT!読者のみなさまこんにちは!株式会社セプティメルスポーツの水上航太郎です。

 

10月上旬はスペインを訪れ、パラリンピックに対する人々の興味や報道がどのようなものだったのかを調べてきました。その中で、偶然冬季パラリンピックで活躍したアルペンスキーヤー(視覚障がいクラスB2)と出会ったのですが、今回は彼の話の中に出てきた「ONCE(オンセ)」というワードについてご紹介したいと思います。

 

ONCEは「スペイン視覚障がい者組織」(La Organización Nacional de Ciegos Españoles)の頭文字を並べたもので、その名が示すようにスペイン国内での視覚障がい者の自立・就労を支援する組織です。その歴史は古く、1938年に既にスペイン各地に存在していた視覚障がい者団体を統括する形で誕生。全国的な組織となったことで、国から財源・雇用先としての宝くじ発行を認められました。

 

1938年当時のスペインは、内戦が終盤に差し掛かっていたものの依然として混乱の中にありました。話によると、そのような激動の時代を生きていた視覚障がい者達自身が、何か社会に寄与できることはないかと運動した結果、生まれた組織だということです。

 

ONCEのくじは非常にポピュラーで、街を歩けば販売用ボックスをいくつも見かけることができます。常に誰かがいるわけではなく、人通りの増える夕方から夜にかけて販売していることが多いような印象です。くじの種類も一般的な宝くじからサッカーくじまで様々で、買いに来た人といろいろな話をしながら対応している場面をよく見かけました。

 

バルセロナ中心部にあるONCEのくじ販売ボックス
バルセロナ中心部にあるONCEのくじ販売ボックス

 

販売ボックスに描かれたONCEのロゴマーク
販売ボックスに描かれたONCEのロゴマーク

 

くじの販売場所はボックスだけに限りません。バルでくつろいでいる人を対象に売り歩く人や、街角に立って販売する人もいます。各々が、自分のやり方で人々とコミュニケーションを取りながら働いているのです。

 

街角でくじを売る人
街角でくじを売る人

 

 

視覚障がい者のために設立されたONCEですが、1988年には、視覚障がいに限らず障がいのある人の職業訓練、雇用、社会的共生を目的として財団を設立し、活動の幅を広げています。その活動の1つが障がい者スポーツ支援。財団はスペインパラリンピック委員会や、複数のスポーツ競技団体のスポンサーとなっています。

 

ところで、今夏のリオパラリンピックにおいてスペインが獲得したメダルは金9、銀14、銅8の計31。そのうち視覚障がいクラスの選手は金5、銀1、銅5の計11で、全体数で約35%、金メダルだけだと約56%を占めています。

 

この数字と、ONCEが長年視覚障がい者の社会参加に取り組んできたことが、直接的な因果関係があるかどうかはわかりません。短絡的に考えれば、社会参加が盛ん→スポーツ機会の増加→トップアスリート数の増加、となるかもしれませんが、現時点では全く根拠の無い想像。また、社会参加の度合いに関係なくパラリンピックで良い成績を収めている国があるのも事実です。

 

皆さんは、障がい者の社会参加の度合いとトップアスリートの数に関係について、どうお考えでしょうか?

 

 

20160623emori_rogo 株式会社セプティメルスポーツ
水上 航太郎
1981年札幌市生まれ。
1993年のJリーグ発足をきっかけに、スポーツ観戦がライフワークの1つとなる。サッカー好きが高じて大学卒業後にバルセロナに渡り、現地で日本向けのライター職などをしながら3年スペインに滞在。帰国後はIT関係職に就きスポーツを趣味として楽しんでいたが、2013年に株式会社セプティメルスポーツを設立し現在に至る。
趣味は旅行とスポーツ観戦。最近特に好きなスポーツはアメフト、クリケット、ボッチャ。
株式会社セプティメルスポーツ
パラタイムズ

 

 


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この記事は株式会社スタートラインの社員および専門ライターによって執筆されています。障がい者雇用の役に立つさまざまなノウハウを発信中。

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